特集 日常生活を脅かす犯罪への取組み 

特集:日常生活を脅かす犯罪への取組み

特集に当たって

 本年の警察白書の特集テーマは、「日常生活を脅かす犯罪への取組み」です。
 この特集では、「日常生活を脅かす犯罪」として、近年、多数の被害が続いている振り込め詐欺(恐喝)を中心として、国民が日常生活を送る中で気付かないうちに巻き込まれる危険性の高い身近な犯罪を取り上げることとしました。
 最近の治安情勢は、刑法犯認知件数が平成14年をピークに減少を続けるなど、改善傾向が続いていますが、国民の治安に対する不安は、依然として払拭されていません。
 振り込め詐欺(恐喝)については、16年以降、毎年250億円を超える被害が生じており、深刻な状況にあります。振り込め詐欺(恐喝)は、親や祖父母が子や孫を思う情愛につけ込み、人と社会の信頼関係を逆手に取るなど極めて卑劣な犯罪であり、生活資金やかけがえのない財産を根こそぎだまし取られ自殺に追い込まれた被害者の方もいます。また、匿名社会に身を潜めた犯行グループが、架空・他人名義の携帯電話や預貯金口座等を利用して、被害者に対面することなく組織的に犯行を繰り返している、現代社会の利便性の盲点をついた犯罪でもあります。
 このほかにも、近年、家屋の屋根、土台等の点検を口実に不要なリフォーム工事を高額で行う点検商法等の悪質商法、食品の偽装表示等の食の安全・安心を脅かす事犯等が多発しており、国民にとって日常生活を送る中で気付かないうちに犯罪に巻き込まれる危険性は高いものとなっていると考えられます。
 こうした情勢を踏まえ、この特集では、第1節で振り込め詐欺(恐喝)その他の日常生活において国民の財産が脅かされる犯罪(悪質商法、ヤミ金融事犯及びインターネットを利用した詐欺)及び日常生活において国民の生命・身体が脅かされる犯罪(食品・製品等に係る安全・安心を脅かす事犯及び保健衛生事犯)の現状を概観した上で、第2節でこれらの犯罪に対する警察の取組みについて詳述し、第3節で今後の展望を提示しました。
 警察では、取締活動及び予防活動を推進していますが、日常生活を脅かす犯罪への対応は、関係する行政機関や団体も多く、その協力が欠かせません。この特集によって、関係機関・団体と警察との連携が一層緊密なものとなるとともに、国民の皆様にもこのような犯罪に巻き込まれないための方法について御理解をいただき、安全に安心して日常生活を送ることができる一助になれば幸いです。

 特集に当たって

前の項目に戻る     次の項目に進む