特集 日常生活を脅かす犯罪への取組み 

2 日常生活を脅かす犯罪が発生しにくい社会をつくるために

 関係機関・団体と連携しながら取り組む各種対策は、国民一人一人の理解と協力がなければ、その成果を着実に上げることはできない。また、希薄化した地域の連帯や家族の絆を再生し、社会全体で犯罪に立ち向かうことは、特に被害に遭いやすい弱い立場にある個人を守るとともに、孤立化した個人の内面から犯罪を防止する有効な対策となる。
 日常生活を脅かす犯罪が発生しにくい社会をつくるためには、被害に遭わないための社会における相互の注意喚起の仕組みを根付かせていくとともに、国民の犯罪に対する「抵抗力」(注)を高めていくことが必要である。警察では、今後とも、日常生活を脅かす犯罪の取締りを推進していくことはもとより、国民一人一人の心に響く広報啓発に努めるなど、社会全体が一丸となって日常生活を脅かす犯罪を撲滅するための取組みを推進していくこととしている。
 国民が相互に監視し合う社会をつくるのではなく、国民が相互に信頼し合える社会をつくることによって、日常生活を脅かす犯罪が撲滅されることを願って、警察は、個人の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たしていく。

注:国民の犯罪に対する認識度や被害に遭わないための注意力にとどまらず、国民自らが、被害防止に向けた取組みに積極的に参画するなどにより、犯罪を社会から排除していく力のこと。振り込め詐欺対策における「だまされた振り作戦」は、「抵抗力」を高める取組みとして象徴的なものである。


 第3節 今後の展望

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