特集 日常生活を脅かす犯罪への取組み 

1 関係機関・団体との連携

 警察では、関係機関・団体と連携しつつ、事業者の協力を得ながら各種対策に取り組み、一定の成果を上げてきたが、日常生活を脅かす犯罪を撲滅するためには、さらに、次のような対策を推進していく必要がある。

(1)犯行ツールの一掃
 携帯電話や預貯金口座の新規契約等における同一名義人の契約数の抑制、書留郵便等を用いた本人確認の徹底、プロバイダ等による携帯電話や預貯金口座等の売買を誘因するインターネット上の違法情報・有害情報の早期削除等の取組みを支援することにより、犯行ツールを一掃する。
 また、施設、通信・流通手段等の提供サービスの匿名による利用や偽造身分証明書を用いた利用により犯罪の実行や犯罪収益の収受等が容易になることを防止するため、各種の取引における本人確認の実施を促進するとともに、官公署等の各種証明書等の発行時においても、本人確認の徹底を図る。
 さらに、生体認証機能を備えた偽造されにくい身分証明書の導入や、身分証明書の偽変造判別装置の導入・高度化等を検討する。
 加えて、今後とも社会情勢の変化に応じ、生活の利便に資するよう生み出されていく様々なサービスが、犯行に利用されるおそれがあることから、関係機関・団体と共に、新たなサービスが新たな犯行ツールとならないよう、各種取組みを推進していく。

(2)犯罪の追跡可能性の確保
 犯罪のこん跡が確実に記録されるよう、ATM、コンビニエンスストア等に設置される防犯カメラ映像等の保存期間の延長、固定電話の通話履歴中の架電先電話番号の明示等について、電気通信事業者、金融機関等の事業者に更なる理解を求め、捜査への協力を確保する。
 また、捜査に不可欠な情報をより迅速かつ的確に収集することができるよう、捜査関係事項照会等への迅速かつ的確な対応を促す。

(3)情報共有の強化等
 国民の日常生活を脅かす犯罪への対応は、関係する行政機関や団体も多いため、警察と関係機関・団体において情報の共有を図るとともに、相談窓口体制を強化し、迅速かつ効果的な被害防止に向けた広報啓発活動を推進する。
 また、関係する行政機関において、事業者に対する指導監督体制を充実させ、報告徴収や立入検査を適時適切に行うとともに、違法行為に対しては適切に行政権限を行使する。
 さらに、事業者における法令遵守の取組強化を促進する。

 第3節 今後の展望

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