第3節 自転車の安全利用の促進
(1)自転車が関連する交通事故の発生状況
自転車は、国民の身近な交通手段として、幅広い利用者層に多様な用途で利用されているが、平成20年中の自転車が関連する交通事故件数は16万2,525件と、交通事故件数全体の21.2%を占めている。
図3-8 交通事故発生件数と自転車関連事故件数の推移(平成11~20年)
(2)自転車通行環境の整備
警察では、歩行者・自転車等の交通主体が安全に通行でき、かつ、適切に共存できるよう、道路管理者と連携して、自転車専用通行帯の設置、自転車道の整備等、自転車の通行環境の整備を推進している。特に、平成20年1月に全国98か所を指定した「自転車通行環境整備モデル地区」においては、今後の自転車の通行環境整備の模範となる事業を実施しており、おおむね21年度末までに同事業の完了を目指している。
自転車道の整備例(新潟県新潟市)
自転車専用通行帯の設置例(静岡県菊川市)
(3)自転車安全教育の推進
警察では、地方公共団体、学校、自転車関係事業者等と連携し、「交通の方法に関する教則」や「自転車安全利用五則」(注1)を活用するなどして、児童・生徒、高齢者、主婦等の幅広い自転車利用者に対して自転車の通行ルール等の周知を図っている。
また、学校等と連携して、児童・生徒に対する自転車安全教育を推進しており、教育効果の高い教材の作成や「中・高校生に対する自転車の安全利用に関する教育モデル事業」の実施等により、教育内容の充実に努めている。平成20年中、児童・生徒や高齢者等を対象とした自転車教室を全国で約3万5,000回開催し、約346万人が受講した。
中・高校生に対する自転車安全利用に関する教育モデル事業
(4)自転車利用者の交通違反に対する指導取締りの強化
自転車指導啓発重点地区・路線(注2)を中心に、自転車利用者の無灯火、二人乗り、信号無視、一時不停止等に対する指導警告を強化するとともに、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたり、指導警告に従わず違反行為を繰り返したりするなどの悪質・危険な交通違反に対しては、交通切符を適用した検挙措置を講ずるなど厳正に対処している。