第2章 組織犯罪対策の推進 

2 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況

 平成20年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)違反で173件(前年比4件(2.3%)減少)、麻薬特例法違反で12件(前年比5件(71.4%)増加)であり、暴力団構成員等によるものが、組織的犯罪処罰法違反で36.4%、麻薬特例法違反で41.7%を占めている。
 20年中における暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪(注)別にみると、主要なものとしては、ヤミ金融事犯が26件、詐欺が11件、賭博が9件となっているが、その他にも、わいせつ物頒布等事犯、薬事法違反、著作権法違反等と多様であり、暴力団が様々な犯罪から資金を獲得し、その資金についてマネー・ローンダリング行為を行っている実態がうかがわれる。
 また、20年中の組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯のうち、8件が来日外国人によるものであった。

注:不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネー・ローンダリング行為の対象となる犯罪

 
表2-20 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況(平成16~20年)
表2-20 マネー・ローンダリング事犯の検挙状況(平成16~20年)
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事例
 無職の男(33)らは、多重債務者等の顧客情報の収集を目的として貸金業の登録を受けた会社を設立し、同社において入手した情報を基に、無登録貸金業を営み、約2,900人に約1億4,200万円を貸し付け、19年1月から20年6月にかけて、法定金利の約70倍から約106倍の利息等約9,500万円を同男らの管理する複数の他人名義の預貯金口座に振り込ませて隠匿した。同年8月、3人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。
 また、他人名義の預貯金口座に滞留する犯罪収益である預貯金債権(犯罪被害財産)約169万円に対して、組織的犯罪処罰法の規定に基づく起訴前の没収保全命令が発出されるとともに、同男らが保有する株券、預貯金債権、現金等約9,344万円に対して、同法に基づく追徴保全命令が発出された(福岡)。
 
事例 無登録貸金業(犯罪収益隠匿)

 第4節 犯罪収益対策

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