第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

3 法務省との情報の共有

 警察庁と法務省は、子ども対象・暴力的性犯罪の前歴者、所在不明の仮釈放者及び保護観察付執行猶予者等による再犯の防止等を図るため、両省庁間で所要の情報を共有し、連携を図る仕組みを構築している。
 
図1-34 警察庁と法務省における情報の共有と連携
図1-34 警察庁と法務省における情報の共有と連携

(1)子ども対象・暴力的性犯罪に係る出所情報の共有
 警察では、平成17年6月から、子どもを対象とした暴力的な性犯罪により刑事施設に服役している者の出所予定日、出所後の帰住予定先等の出所情報について、法務省から提供を受けている。
 運用開始から20年末までに556人分の情報提供を受けており、出所者の改善更生や社会復帰を妨げないように配慮しつつ、犯罪の予防や捜査の迅速化等に活用している。

(2)凶悪重大犯罪等に係る出所情報の共有
 警察では、平成17年9月から、凶悪重大犯罪等(注)により刑事施設に服役し、出所した者又は出所する予定の者の入所罪名、出所年月日等の出所情報について、法務省から提供を受けている。
 運用開始から20年末までに約9万2,000人分の情報提供を受けており、同種の犯罪が発生した場合の迅速かつ的確な被疑者の絞り込み等に活用している。

注:殺人、強盗等の凶悪重大犯罪及びこれらの犯罪に結び付きやすく、再犯のおそれが大きい侵入窃盗、薬物犯罪等


(3)保護観察中に所在不明となった者の情報の共有
 所在不明となった仮釈放者及び保護観察付執行猶予者について、平成17年12月から、保護観察所からの協力依頼に基づき、警察がその者の所在調査に協力することとし、その者に関する情報を警察が把握した場合に、当該情報を保護観察所に提供することなどにより、保護観察制度の適正な運用に寄与することとしている。
 運用開始から20年末までに、警察が把握した1,568件の情報を保護観察所に提供しており、当該情報を基に、保護観察所において1,319人の所在を確認(法務省速報値)している。

 第2節 犯罪の検挙と抑止のための基盤整備

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