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トピックスIV 厳しい銃器情勢を踏まえた銃器対策の新たな取組み

 銃器使用犯罪は私たちの社会に大きな脅威を与え続けています。銃器使用犯罪のない安全な社会をつくるため、国民の皆様の御理解と御協力をお願いします。

 平成19年中には、長崎市長が射殺された事件、東京都町田市や愛知県長久手町での銃器を使用した立てこもり事件、福岡県福岡市での道仁会会長が射殺された事件、佐賀県武雄市での入院患者が射殺された事件が発生するなど、銃器情勢は、極めて厳しいものとなりました。このため、関係省庁間において銃器対策の更なる施策についての検討が進められるとともに、「けん銃110番報奨制度」の導入、銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」といいます。)等の改正が行われました。
 また、同年12月には、長崎県佐世保市で散弾銃使用殺傷事件が発生し、国民の間に大きな衝撃と銃砲に対する不安をもたらしました。警察では、この事件を受けて「17万人/30万丁・総点検」及び「銃砲行政の総点検」を実施し、その結果を踏まえた対策を推進していきます。
 銃器使用犯罪のない安全な社会をつくるためには、警察のみにおいて対策を推進するのではなく、その対策への国民の皆様の御理解と御協力が欠かせません。皆様の御理解と御協力をお願いします。

(1)政府を挙げた取組み
 厳しい銃器情勢を受け、政府では、平成19年4月の銃器対策推進本部第13回会合において、「平成19年度銃器対策推進計画」を策定するとともに、同年6月には関係省庁から成る銃器対策の更なる施策検討のためのプロジェクトチームにおいて、「銃器に関する情報を受け付けるための新たな仕組みの検討」や「けん銃に係る罰則の強化等を内容とする銃刀法改正案の可及的速やかな国会提出」等を内容とする「銃器犯罪抑止のための更なる施策について」が取りまとめられました。
 また、同年7月には犯罪対策閣僚会議の暴力団取締り等総合対策に関するワーキングチームの下に、銃器・暴力団犯罪取締り・対策チームを設置し、同年12月「銃器密輸入取締り現場における連携強化について」を決定しました。
 警察では、これらの施策等を踏まえ、関係省庁と連携し、総合的な銃器対策を推進しています。
 
政府を挙げた銃器対策の強力な推進

(2)けん銃110番報奨制度
 けん銃に係る情報収集の困難化を克服するため、幅広く国民からの情報提供を促すことを目的に、全国統一フリーダイヤル番号を設定して全国の都道府県警察で通報を受け付け、提供された情報の内容、捜査への協力の度合いにより報奨金を支払う「けん銃110番報奨制度」を導入しました。
 「けん銃を見た」、「けん銃を持っている人を知っている」など、けん銃に関する情報をお寄せください。
 
けん銃110番報奨制度

(3)銃刀法等の改正
〔1〕 改正の経緯
 銃器使用犯罪の大半は、暴力団構成員等によって敢行されたものであり、また、暴力団同士の対立抗争において行われるだけでなく、一般社会において暴力団が各種資金や利権をもたらす不正権益を維持・獲得するための手段として行われる傾向が強くうかがわれるものでした。
 このような情勢を踏まえ、けん銃を使用した凶悪犯罪等を抑止するため、暴力団によるけん銃事犯の特性に着目した重罰化、経済的打撃を与えるための罰金刑の引上げ等の罰則の強化を行うことを内容とする銃砲刀剣類所持等取締法及び武器等製造法の一部を改正する法律が、平成19年11月、第168回国会において成立しました。
〔2〕 改正の内容
 この一部改正法は19年12月30日から施行されましたが、その内容は、図IV-1のとおりです。
 
 図IV-1 銃砲刀剣類所持等取締法及び武器等製造法の一部を改正する法律の概要
図IV-1 銃砲刀剣類所持等取締法及び武器等製造法の一部を改正する法律の概要

(4)銃砲規制の厳格化のための対策
 長崎県佐世保市で発生した散弾銃使用殺傷事件を受け、各都道府県警察において許可を受けた猟銃等及びその所持者のすべてを対象とした「17万人/30万丁・総点検」を実施するとともに、警察庁において幅広い観点から銃砲行政全般の見直しを行う「銃砲行政の総点検」を実施しました。
 
 図IV-2 猟銃・空気銃所持許可の申請手続(初めて所持する場合)
図IV-2 猟銃・空気銃所持許可の申請手続(初めて所持する場合)

〔1〕 17万人/30万丁・総点検
 平成19年12月15日から20年3月16日までの間に、すべての都道府県警察が猟銃等の所持者及び猟銃等について総点検を実施した結果(実施率99.7%)、銃刀法・火薬類取締法違反を発見して検挙するとともに、許可の取消しを行うなど猟銃等所持者として不適格な者の排除が推進されました。
 
 泉国家公安委員会委員長による「17万人/30万丁・総点検」の視察の様子
泉国家公安委員会委員長による「17万人/30万丁・総点検」の視察の様子
 
 図IV-3 「17万人/30万丁・総点検」の実施結果(平成19年12月15日~20年3月16日)
図IV-3 「17万人/30万丁・総点検」の実施結果(平成19年12月15日~20年3月16日)

〔2〕 銃砲行政の総点検
 警察庁では、すべての都道府県警察から銃砲行政の在り方についてヒアリングを行うとともに、実態調査、関係団体からの意見聴取等を推進するなど、銃砲行政のあらゆる面から点検作業を行いました。その結果は、次のとおりです。
 
 図IV-4 「銃砲行政の総点検」の結果とその改善策の案
図IV-4 「銃砲行政の総点検」の結果とその改善策の案

 警察では、これらの結果を踏まえ、銃刀法改正案の国会提出を含め、銃砲規制の厳格化のための対策を速やかに推進していきます。
 なお、20年6月に発生した東京都千代田区外神田1丁目先路上における無差別殺人事件を受け、刃物規制の強化のための銃刀法改正作業も進めています。

 4 厳しい銃器情勢を踏まえた銃器対策の新たな取組み

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