特集:変革を続ける刑事警察 

4 終わりに

 警察の責務は、個人の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序を維持することにある。刑事警察はこれまで、この警察の責務を果たすべく、絶え間なく巧妙化を続ける犯罪と対決するため、捜査力を強化してきた。
 近年、捜査環境の変容や犯罪の組織化の進展等を受け、警察捜査の負担が増大する一方で、警察捜査における取調べの在り方を問われる無罪判決等が相次ぐなど、警察捜査に対する厳しい批判がなされている。さらに、司法制度改革の本格化等により、刑事警察は迅速かつ多面的な変革が求められている。
 このような状況に対処するため、警察は、平成20年1月、取調べの適正化に向けて指針を取りまとめ、その着実な実施に努めているほか、急増するDNA型鑑定の需要に対応するとともに高度な鑑定を実施するための資機材の整備等、捜査における科学の活用を推進するなどして、捜査力を強化し、犯罪捜査をち密かつ適正に行うための「変革」を進めている。
 被害者やその家族は、犯罪の被害により一生癒えることのない傷を被る。被害者のために、また、犯罪の被害に苦しむ人が一人でも少なくなるよう、事件の解決に向けてひたむきに努力する刑事の姿は今も昔も変わらない。刑事警察はこれからも、国民の理解と協力を得ながら、捜査力を一層強化して、犯人の検挙を望む一人一人の国民のために、犯罪と対決していく。

 第4節 今後の展望

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