第5章 公安委員会制度と警察活動の支え 

6 警察の情報通信

 警察の情報通信は、警察活動を支える不可欠な基盤である。警察では、事件、事故及び災害がどこでどのように発生しても即座に対応できるよう、各種の情報通信システムを開発し、それらを全国に整備するとともに、システムの高度化に努めている。

(1)警察活動を支える警察情報通信
〔1〕 危機管理を支える警察情報通信
 警察では、独自に整備・維持管理している無線多重回線、電気通信事業者の専用回線、衛星通信回線等により構成される全国的なネットワークにより、警察庁、管区警察局、警察本部、警察署、交番等を結ぶほか、各種の移動通信システムを構築することにより、警察業務を遂行する上で不可欠な情報を伝達している。
 システムの管理、運営等のため、各都道府県に国の機関である情報通信部が設置され、都道府県警察の業務を支えている。また、広域・重大事案発生時の通信施設の運用に関する指導・調整等のため、各管区警察局に情報通信部が設置されている。
〔2〕 警察情報管理システム
 警察では、盗難車両、家出人等に関する情報を警察庁のコンピュータに登録することにより、第一線の警察官からの照会に即時に回答したり、運転免許証に関する情報を全国一元管理することにより、運転免許証の不正取得を防止したりするための警察情報管理システムを構築している。
 
 図5-10 警察活動を支える警察情報通信
図5-10 警察活動を支える警察情報通信

(2)機動警察通信隊の活動
 機動警察通信隊は、各都道府県情報通信部に設置されており、事件、事故又は災害の発生時には、警察本部と現場警察官との間の指揮命令や連絡が円滑に行われるよう、速やかに出動して通信対策を行っている。
 平成19年においても、8月に那覇空港で発生した中華航空機爆発炎上事故のほか、警衛、警護や各種イベントの雑踏警備等において、状況把握や指揮命令のために必要な事故現場等の映像を警察庁や警察本部等へ伝送するため、ヘリコプターテレビシステムや衛星通信車等を活用し、また、臨時の無線回線を設定して、警察活動を行うために必要な通信を確保した。さらに、ひったくり事件が発生した際に、臨時の無線回線を設定し、捜査員間の通信体制を確保するなど、街頭犯罪・侵入犯罪等の国民に身近な犯罪の捜査等における通信対策についても取組みの強化を図っている。
 
 図5-11 機動警察通信隊の活動
図5-11 機動警察通信隊の活動

コラム2 災害現場で活躍する機動警察通信隊

 大規模な自然災害の発生時等においては、被災地の状況を的確に把握し、迅速な初動対応を行うことが重要である。機動警察通信隊は、直ちに現場に出動し、現場の状況把握に不可欠な映像の伝送を始め、現場の警察部隊の指揮命令や連絡に不可欠な臨時の無線回線の設定等の通信対策を行っている。
 平成19年(2007年)能登半島地震や平成19年(2007年)新潟県中越沖地震の際には、ヘリコプターテレビや機動警察通信隊員の迅速な活動によって撮影した被災地の映像を、警察庁を通じて首相官邸にある危機管理センターにも提供し、政府の危機管理に貢献した。
 
 平成19年(2007年)能登半島地震における機動警察通信隊の活動
平成19年(2007年)能登半島地震における機動警察通信隊の活動

 6 警察の情報通信

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