第4章 公安の維持と災害対策 

第13節 サイバーテロ対策

 国民生活や社会経済活動において、情報通信技術(IT)が幅広く用いられており、これらの社会基盤を提供する重要インフラ(注1)の基幹システムに対してサイバー攻撃が実行された場合、その影響は極めて甚大であることから、できる限り早期に把握し、被害の未然防止及び拡大防止を図るため、警察では継続的なサイバーテロ(注2)対策を実施している。

注1:情報通信、金融、航空、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス(地方公共団体を含む。)、医療、水道及び物流の各分野における社会基盤
 2:重要インフラの基幹システムに対する電子的攻撃又は重要インフラの基幹システムにおける重大な障害で電子的攻撃による可能性が高いもの


(1)サイバーテロ対策に係る態勢
 警察庁では、警備、生活安全及び情報通信の部門横断的なサイバーテロ対策推進室を設置して、サイバーテロ対策を推進している。
 また、警察庁には、サイバーテロ対策の技術的中核としてサイバーフォースセンターが設置されており、24時間体制でボット(注3)に感染したコンピュータの動向その他のサイバーテロの予兆を把握するためのリアルタイム検知ネットワークシステム(注4)を運用し、サイバーテロ事案の認知に当たっている。また、同センターはサイバーテロ発生時の緊急対処の技術支援の拠点として機能しており、各管区警察局等に設置されたサイバーフォースを通じて都道府県警察への支援に当たっている。
 都道府県警察には、同様に部門横断的なサイバーテロ対策プロジェクトが設置されており、サイバーフォースの技術的支援を受けつつ、官民連携した諸対策を推進している。

注3:攻撃者の命令に基づき動作するプログラム
 4:警察の有するインターネットとの接続点(全国57か所)に設置したセンサからの情報を集約・分析するためのシステム。コンピュータ・ウイルス感染の拡大や、サイバー攻撃等の発生状況を観測する。

 
 図4-23 サイバーフォースセンターの機能
図4-23 サイバーフォースセンターの機能

(2)サイバーテロ対策に係る取組み
〔1〕 重要インフラ事業者等との連携強化
 サイバーテロ対策プロジェクトでは、重要インフラ事業者等への個別訪問を行い、捜査に対する協力等の要請を行うとともに、サイバーテロ対策セミナー、サイバーテロ対策協議会等を開催し、情報セキュリティに関する情報提供や意見交換等を行っているほか、重要インフラ事業者等と事案発生を想定した共同訓練を実施し、緊急対処能力の向上を図るなど、官民連携の強化に努めている。
 
 重要インフラ事業者等との共同訓練実施状況
写真 重要インフラ事業者等との共同訓練実施状況

〔2〕 インターネット利用者への情報提供
 警察庁では、警察庁セキュリティポータルサイト「@police」(http://www.cyberpolice.go.jp/)を開設し、新たなコンピュータ・ウィルスや各種プログラムのぜい弱性をいち早く公開しているほか、サイバー攻撃等の発生状況等を一定時間ごとに自動的に集計・分析して表示する「インターネット定点観測」等を公開している。
 
「@police」
写真 「@police」

 第13節 サイバーテロ対策

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