第11節　警備実施

（1）各種重要警備
〔1〕　警衛警備
　天皇皇后両陛下は、平成19年中、第58回全国植樹祭（6月、北海道）、第62回国民体育大会（9月、秋田県）、第27回全国豊かな海づくり大会（11月、滋賀県）等への御臨席等のため行幸啓になった。
　皇太子殿下は、同年中、第62回国民体育大会冬季大会（1月、群馬県）等への御臨席等のため行啓になった。
　海外へは、天皇皇后両陛下が、リンネ生誕300年関連行事御臨席等のためスウェーデン及び英国を、また、国際親善のためエストニア、ラトビア及びリトアニア（5月）をそれぞれ御訪問になった。このほか、皇太子殿下が国際親善のためモンゴル（7月）を御訪問になるなど皇族方が合計7回御訪問又は御旅行になった。
　警察では、皇室と国民との間の親和に配意した警衛警備を実施し、御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏事故防止を図った。

〔2〕　警護警備
　安倍首相（当時）は、19年中、首脳会談及び東アジア首脳会議出席に伴う英国、ドイツ、ベルギー、フランス及びフィリピン訪問（1月）、首脳会談出席等に伴う米国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール及びエジプト訪問（4月、5月）、ハイリゲンダム・サミット出席等に伴うドイツ訪問（7月）、APEC首脳会議出席等に伴うオーストラリア訪問（9月）等を行った。
　また、福田首相は、19年中、首脳会談出席等に伴う米国訪問（11月）、東アジア首脳会議出席等に伴うシンガポール訪問（11月）、日中首脳会談出席等に伴う中国訪問（12月）等を行った。
　国内においては、7月に第21回参議院議員通常選挙が行われ、与野党の熾烈な選挙戦を反映し、多数の各政党の要人が全国で遊説活動を行った。また、8月には、故宮澤喜一元首相の内閣･自由民主党合同葬儀が東京都内において行われ、国内外の要人等が多数参列した。さらに、9月には安倍首相の辞任に伴う自由民主党総裁選挙が行われ、麻生太郎氏及び福田康夫氏が立候補し、全国4箇所で所見発表街頭演説会を行うとともに、都内等各所において街頭演説を行った。
　このほか、カール16世グスタフ・スウェーデン国王陛下及び王妃陛下（3月）、温家宝・中国国務院総理（4月）、フン・セン・カンボジア首相（6月）、グエン・ミン・チエット・ベトナム国家主席（11月）等の外国要人が来日した。
　警察では、テロ等違法事案の発生が懸念される厳しい警護情勢の下、的確な警護警備諸対策を推進して要人の身辺の安全を確保した。

〔3〕　北京2008オリンピック聖火リレー＜長野＞の開催に伴う警備
　20年4月26日、長野県長野市において、北京2008オリンピック聖火リレー＜長野＞が開催された。チベット問題等への抗議活動が行われるなど厳しい情勢の下、長野県警察では、警視庁等からの特別派遣部隊を含む最大約3,000人態勢で警備を実施し、聖火リレーの安全な進行と関係者等の安全の確保を図った。また、聖火輸送コースを管轄する関係都県警察では、所要の態勢を確立して警備を実施し、輸送の安全を確保した。

（2）機動隊の活動
〔1〕　機動隊の種類と機能
　都道府県警察には、集団警備力によって有事即応体制を保持する常設部隊として機動隊が設置されているほか、管区機動隊、第二機動隊等が設置されており、また、各種警察事案に対応できるよう機能別部隊が編成されている。

〔2〕　機動隊の任務と活動
　機動隊は、危機管理のための集団警備力の中核として、各種の警備に当たっている。また、機能別部隊は、その専門能力をいかした人命救助活動や捜査活動等に従事している。

（3）雑踏警備
　警察では、祭礼等の行事に際して多数の人が集まることにより事故が発生するおそれがある場合には、雑踏事故の未然防止を図るため、あらかじめ、行事の主催者や施設の管理者に対して必要な安全対策をとるよう要請しているほか、警察部隊の投入が必要と判断される場合には、雑踏警備計画を作成し、混雑が予想される場所等への警察官の配置、交通規制、広報活動等を行っている。
　また、平成13年7月に兵庫県明石市で発生した雑踏事故の教訓を踏まえ、雑踏事故対策に当たり遵守すべき基本的事項の再徹底や雑踏事故防止のための体制の確立に努めている。