第4章 公安の維持と災害対策 

第9節 オウム真理教の動向と対策

(1)オウム真理教の動向
 オウム真理教(以下「教団」という。)は、麻原彰晃こと松本智津夫への絶対的帰依を強調する執行部を支持する派閥(以下「主流派」という。)と、松本の影響力の払拭を装う上祐史浩代表を支持する派閥(以下「上祐派」という。)との間で対立が深まっていたが、平成19年5月、上祐派が新団体「ひかりの輪」を設立し、教団は分裂した。
 分裂後の主流派では、松本への帰依を一層強化し、危険な教義と厳格な修行を復活させるなど、原点回帰を進めている。一方、上祐派では、松本との決別を強調しているが、地下鉄サリン事件以前からの信者が多数を占め、また、松本の教えが内包された教材を使用するなどしている。
 
 図4-16 オウム真理教の拠点施設等
図4-16 オウム真理教の拠点施設等

(2)オウム真理教対策の推進
〔1〕 特別手配被疑者の追跡捜査
 地下鉄サリン事件の発生から13年が経過した。首謀者である松本の死刑は確定しているものの、警察庁指定特別手配被疑者である平田信、高橋克也及び菊地直子の3人は依然として逃走中である。警察は、3人の発見検挙を最優先課題の一つとして、広く国民の協力を得ながら、全国警察を挙げた追跡捜査を推進している。
 
 警察庁指定特別手配被疑者(年齢は平成20年7月1日現在)
警察庁指定特別手配被疑者(年齢は平成20年7月1日現在)

〔2〕 組織的違法行為の厳正な取締り
 警察は、教団信者による組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進し、平成19年中は、3件の事件で4人を検挙するとともに、5都府県延べ18か所の教団施設等を捜索し、関係資料約1,850点を押収した。

〔3〕 教団の実態解明と施設周辺の警戒警備活動
 警察は、無差別大量殺人行為を再び起こさせないため、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、教団施設周辺の住民や関係自治体による要望を踏まえ、住民の平穏な生活を守るため、施設周辺におけるパトロール等の警戒警備活動を実施している。
 
 施設周辺での警戒警備の状況
施設周辺での警戒警備の状況

 第9節 オウム真理教の動向と対策

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