第4章 公安の維持と災害対策 

第8節 極左暴力集団の動向と対策

(1)極左暴力集団の動向
 暴力革命による共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団は、平成19年も、周囲に警戒心を抱かせないよう暴力性を隠しながら、大衆運動や労働運動に取り組み、組織の維持・拡大を企図した。
 革マル派は、18年に死亡した黒田寛一前議長の遺志に基づき、JRを始めとする基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図りつつ、国民投票法の制定や海上自衛隊のインド洋での給油活動を実施するための新法案の国会審議等をとらえ、抗議集会やデモに取り組んだ。
 中核派は、活動家や同調者を増やす活動を重点とする労働運動の取組み強化及び学生組織の拡大強化に力を注いだが、運動方針等をめぐり生じた組織の内紛が、幹部活動家の除名や地方組織の分裂といった事態に発展した。
 革労協主流派は、成田国際空港の暫定平行滑走路の北側延伸工事等に対する反発を強め、抗議集会やデモに取り組んだ。革労協反主流派は、在日米軍の再編をめぐる議論等をとらえた反戦闘争に取り組む中、19年2月12日、米陸軍が置かれているキャンプ座間に向け、飛翔弾を発射する「テロ、ゲリラ」事件を引き起こした。
 
 図4-15 極左暴力集団の現況
図4-15 極左暴力集団の現況
 
 過激派対策広報ポスター
過激派対策広報ポスター

(2)諸対策の推進
 警察では、極左暴力集団に対する事件捜査や非公然アジト発見に向けたマンション、アパート等に対するローラーを推進するとともに、ポスターを活用して、国民からの広範な情報提供を促すなどした。こういった諸対策により、平成19年中、活動家及びその同調者計33人を検挙した。
 
 表4-4 平成19年中の主な極左暴力集団の検挙事件
表4-4 平成19年中の主な極左暴力集団の検挙事件

 第8節 極左暴力集団の動向と対策

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