第3章 安全かつ快適な交通の確保 

第5節 運転者施策

(1)運転者の危険性に応じた行政処分の実施
 警察では、道路交通法違反を繰り返し犯す運転者や重大な交通事故を起こす運転者を、道路交通の場から早期に排除するため、行政処分の厳正かつ迅速な実施に努めている。
 
 表3-5 運転免許の行政処分件数の推移(平成15~19年)
表3-5 運転免許の行政処分件数の推移(平成15~19年)

(2)運転免許取得希望者等の利便性の向上
 警察では、免許更新に係る国民の負担を軽減するため、更新免許証の即日交付、日曜日の申請受付、警察署への更新窓口の設置、申請書の写真添付の省略、住所地を管轄する公安委員会以外の公安委員会を経由した更新申請の受付(優良運転者に限る。)等の施策を推進している。
 また、障害者の利便性向上のため、試験場施設の整備・改善、漢字に振り仮名を付けた学科試験問題による学科試験の実施や字幕入り講習用ビデオの活用等を推進している。さらに、障害者や一定の病気にかかっている者が安全に運転できるか個別に判断するため、専門知識の豊富な職員を配置し、運転適性相談活動の充実を図っている。

(3)国際化への対応
 外国等の行政庁等の運転免許を有する者については、一定の条件の下に運転免許試験の一部を免除できる制度がある。警察では、慎重な審査を行い、真正でない外国等の運転免許証を使用して日本の運転免許を不正に取得する事案の発生の防止に努めている。
・ 上記制度による運転免許証の交付件数(平成19年)・・・4万3,576件
・ 対象となった外国等の行政庁等の数・・・156

(4)運転免許証のICカード化
 平成19年1月から5都県警察、20年1月からさらに5県警察において、IC免許証の発行が開始された。IC免許証には、偽変造防止のほか、本籍を運転免許証の券面から削除し、電磁的記録とすることにより、免許保有者のプライバシーが保護されるなどの利点がある。
 
 ICチップが組み込まれた場所(例)
IC免許証
 IC免許証

(5)聴覚障害者の運転免許取得と聴覚障害者標識
 これまで運転免許を受けることができなかった聴覚障害者について、ワイドミラーの装着を条件に、普通自動車免許を取得することができることとし、聴覚障害者が運転する際に、聴覚障害者標識の表示を義務付けることなどを内容とする改正道路交通法が平成20年6月から施行された。同法では、聴覚障害者標識を表示した自動車に対する幅寄せや割込みが禁止されており、警察では聴覚障害者標識や運転者が配慮すべき事項について広報・啓発を行っている。
 
 聴覚障害者標識
聴覚障害者標識

 第5節 運転者施策

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