第3章 安全かつ快適な交通の確保 

第4節 運転者教育

(1)運転者教育の体系
 運転者教育の機会は、運転免許を受ける過程及び運転免許を受けた後における各段階に体系的に設けられており、その流れは次のとおりである。
 
 図3-10 運転者教育の体系
図3-10 運転者教育の体系

(2)運転免許を受けようとする者に対する教育の充実
 運転免許を受けようとする者は、都道府県公安委員会の行う運転免許試験を受けなければならないが、指定自動車教習所(注1)の卒業者は、そのうち技能試験が免除される。警察では、教習指導員の資質の向上を図るなどして、指定自動車教習所における教習の充実に努めている。
・ 指定自動車教習所・・・全国で1,424か所(平成19年末現在)
・ その卒業者で同年中に運転免許試験に合格した者の数・・・約178万人(合格者全体の94.6%)
 また、運転免許を受けようとする者は、その種類に応じ、安全運転に関する知識や技能等を習得するための講習(取得時講習)を受講することが義務付けられている。ただし、指定自動車教習所又は特定届出自動車教習所(注2)を卒業した者は、これと同内容の教育を受けているため、受講する必要がない。

注1:職員、施設及び運営方法が一定の基準に適合するものとして都道府県公安委員会が指定した自動車教習所
 2:届出自動車教習所のうち、職員、施設、教習方法等が一定の基準に適合するものとして都道府県公安委員会が指定した教習課程を行う自動車教習所

 
 表3-2 取得時講習の実施状況(平成19年)
表3-2 取得時講習の実施状況(平成19年)

(3)運転免許取得後の教育の充実
〔1〕 きめ細かな更新時講習の実施
 更新時講習は、免許証の更新の機会に定期的に講習を行うことにより、安全な運転に必要な知識を補い、運転者の安全意識を高めるため、受講者を法令遵守の状況等により優良運転者等に区分し、さらにその態様に応じて高齢者学級等の特別学級を編成して実施している。
 
 表3-3 更新時講習の実施状況(平成19年)
表3-3 更新時講習の実施状況(平成19年)

〔2〕 危険運転者の改善のための教育
 道路交通法等に違反する行為をし、累積点数が一定の基準に該当する者や行政処分を受けた者に対しては、その危険性の改善を図るための教育を行っており、飲酒運転違反者を集めて行う飲酒学級を停止処分者講習に設置するなど、教育内容の充実に努めている。
 
 表3-4 危険運転者の改善のための教育の状況(平成19年)
表3-4 危険運転者の改善のための教育の状況(平成19年)

〔3〕 自動車教習所における交通安全教育
 自動車教習所は、いわゆるペーパードライバー教育を始めとする運転免許取得者に対する交通安全教育も行っており、地域における交通安全教育センターの役割も果たしている。こうした教育の水準の向上と普及のため、一定の水準に適合する場合は都道府県公安委員会の認定を受けることができることとされている。
 
 飲酒学級
飲酒学級

(4)高齢運転者対策の充実
 高齢者講習は、70歳以上の者の免許更新時に義務付けられており、安全運転に必要な知識等に関する講義のほか、自動車等の運転、動体視力等の検査を通じ、受講者に自らの身体機能の変化を自覚してもらった上で、その結果に基づく助言・指導を行っている。平成19年中は135万4,401人が受講した。
 なお、75歳以上の者の免許更新時に、運転に必要な記憶力、判断力等に関する認知機能検査を導入することなどを内容とする改正道路交通法が19年6月に公布され、公布の日から2年以内に施行されることから、警察庁では新制度の円滑な施行と高齢者講習の充実に向け、準備を進めている。

 第4節 運転者教育

前の項目に戻る     次の項目に進む