第2章 組織犯罪対策の推進 

3 犯罪収益のはく奪

 犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するため、これをはく奪することが重要である。犯罪収益の没収・追徴は、裁判所の判決により言い渡されるが、没収・追徴の判決が言い渡される前に、犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、警察は、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用して没収・追徴の実効性を確保している。

(1)没収・追徴の状況
 第一審裁判所において行われる通常の公判手続における組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況は、表2-22のとおりである。
 
 表2-22 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況(平成14~18年)
表2-22 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況(平成14~18年)

(2)起訴前の没収保全
 平成19年中における起訴前の没収保全命令は、組織的犯罪処罰法で21件(前年比12件(133.3%)増)、麻薬特例法で4件(前年比1件(33.3%)増)発出されている。なお、18年12月1日から、改正された組織的犯罪処罰法が施行されたことにより、それまで没収・追徴ができなかった振り込め詐欺(恐喝)やヤミ金融事犯等により犯人が得た犯罪被害財産についても没収・追徴が可能となったところ、19年12月、警察として初めて、被害者から違法に徴収した利息に対して、起訴前没収保全命令の発出を得た。
 
 表2-23 起訴前の没収保全命令状況(平成15~19年)
表2-23 起訴前の没収保全命令状況(平成15~19年)

 第4節 犯罪収益対策の推進

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