第2章 組織犯罪対策の推進 

3 国際犯罪組織の動向

(1)来日外国人犯罪の組織化の動向
 来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は、平成19年中は63.3%と、日本人(16.5%)の約4倍に上るとともに、過去10年間では1.7倍の増加となっている(注)
 罪種別にみると、侵入盗で共犯事件の割合が極めて高く、28.2%は4人組以上によるものである。また、強盗では共犯事件の割合が40.3%であり、15.1%が4人組以上によるものである。
 このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて多人数で行われる場合が多く、来日外国人犯罪の組織化の傾向がうかがえる。

注:来日外国人と日本人の共犯事件については、主たる被疑者の国籍・地域により、来日外国人による共犯事件であるか、日本人による共犯事件であるかを分類して計上している。

 
 図2-25 来日外国人刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合の推移(平成10~19年)
図2-25 来日外国人刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合の推移 (平成10~19年)
 
 図2-26 来日外国人と日本人の刑法犯における共犯率の違い(平成19年)
図2-26 来日外国人と日本人の刑法犯における共犯率の違い (平成19年)

(2)国際犯罪組織の特徴
 近年、偽変造旅券を使用して入国したり、正規に入国した後に不法に残留したりする不法滞在者等が、より効率的に利益を得ることなどを目的に、国籍や出身地等の別により集団化し、日本の暴力団や外国に本拠を置く国際犯罪組織と連携して、強盗、窃盗、カード犯罪等の悪質な犯罪を引き起こす事例が目立っている。例えば、コロンビア人犯罪グループが、暴力団構成員と結託し、資産家等を対象に多数の強盗を敢行したり、ナイジェリア人犯罪グループが外国の詐欺組織と連携して日本の銀行口座を通じてマネー・ローンダリングを行ったりしていた事例がみられる。また、韓国人すり組織は、催涙スプレー、包丁等を所持して組織的に犯行を行うなどしている。さらに、言語や社会習慣の違いから、日本社会になじめず、就労することができない日系ブラジル人が、犯罪組織を形成して自動車盗、車上ねらい等の犯罪を敢行する動向もみられる。
 こうした組織犯罪を容易にしているのは、来日外国人を日本国内に不法入国・不法滞在させる手段を提供したり、不法に得た財物の処分又は現金の送金を代行するなどして助ける者や組織である。この種の組織として、偽造旅券、偽造外国人登録証明書等の入手を希望する外国人に対し、これを提供することにより不法な利益を得ている国内外の偽造請負組織やブローカー集団、不法就労や犯罪で得た収益を、本人確認を行わず、安価な手数料で本人に代わって送金する地下銀行組織等がみられる。
 
 図2-27 検挙事例にみる国際犯罪組織の特徴
図2-27 検挙事例にみる国際犯罪組織の特徴

 第3節 来日外国人犯罪対策

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