第2章 組織犯罪対策の推進 

4 総合的な銃器対策

(1)政府を挙げた諸対策の推進
 厳しい銃器情勢に対処するため、政府の銃器対策推進本部では、毎年度、銃器対策推進計画を策定し、銃器対策に取り組んでいる。
 これに加え、平成19年は、長崎市長が射殺された事件等が発生したことなどを受け、関係省庁間において、銃器の撲滅に向けた更なる施策の検討を進めたところである。
 警察では、空港・港湾等の水際での銃器取締りを推進するため、税関、海上保安庁等と連携した取締りや訓練を実施したり、連絡協議会を開催したりしている。
 
 図2-18 政府の取組状況
図2-18 政府の取組状況

(2)国際的な銃器対策の推進
 我が国は、平成14年12月、銃器議定書(注1)への署名を行った。同議定書を締結することで、国際的に不正取引された銃器の追跡調査が容易になり、国際協力が更に円滑になることが期待される。
 また、警察庁では、国際刑事警察機構(ICPO-Interpol)(注2)を通じるなどして、外国関係機関と積極的に情報交換を行っているほか、職員を派遣したり、関係者を招へいするなどして、外国関係機関との連携の強化に努めている。

注1:国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する三議定書の一つに位置付けられ、銃器、その部品及び弾薬の不正な製造及び取引を犯罪化するとともに、銃器への刻印、記録保管、輸出入管理等に関する制度を確立し、法執行機関間の協力関係を構築するための条約(20年5月末現在の署名国は52か国、締約国は74か国)
 2:International Criminal Police Organization-Interpol


(3)国民の理解と協力の確保
 国民からけん銃事犯にかかわる情報の提供を求めるため、全国統一フリーダイヤル番号(0120-103774)を設定し、全国の都道府県警察で通報を受け付けている。また、「銃器犯罪根絶の集い」(注3)等の催しを開催したり、「ストップ・ガン・キャラバン隊」(注4)等の民間ボランティア団体と連携した活動を行ったりすることで、銃器犯罪の根絶と違法銃器の排除を広く国民に呼び掛けている。

注3:警察庁と都道府県銃器対策本部等が毎年度共催している催し。第1回は7年10月に東京で開催され、19年10月に香川で第13回が開催された。
 4:銃器犯罪の被害者の遺族や関係者、銃器問題に深い関心をもつ研究者等で構成するボランティア団体。9年4月に発足し、催しや会合、ウェブサイト等を通じて、国民に銃器犯罪の悲惨さを訴え、違法銃器を根絶しようとする意識を高めている。

 
 銃器犯罪根絶の集い
銃器犯罪根絶の集い

 第2節 薬物銃器対策

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