第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

2 総合的な少年非行防止対策

(1)少年サポートセンターの活動
 警察では、全都道府県警察に少年サポートセンターを設置(注1)し、少年補導職員(注2)を中心に、学校、児童相談所その他の関係機関・団体と緊密に連携しながら、総合的な非行防止対策を行っている。

注1:平成20年4月1日現在、全国に193か所(うち警察施設以外67か所)の少年サポートセンターが設置されている。
 2:少年相談、継続補導、被害少年の支援等の専門的・継続的な活動を行うため、20年4月1日現在、全国に約1,100人の少年補導職員が配置されている。

 
 図1-41 少年サポートセンター
図1-41 少年サポートセンター

〔1〕 少年相談活動
 少年や保護者からの悩みや困りごとの相談に応じており、心理学や教育学の専門知識を有する職員や少年非行問題を取り扱った経験の豊富な職員が、親身に指導・助言を行っている。また、気軽に相談できるよう、フリーダイヤルの電話や電子メールでも相談に応じている。
〔2〕 街頭補導活動
 少年非行を抑止し、健全な育成を図るためには、非行に至らない不良行為の段階で適切に対処することが必要である。警察では、少年のい集する繁華街、学校周辺、通学路、公園等において、学校その他関係機関やボランティア等地域住民と共同で街頭補導活動を実施している。
〔3〕 継続補導、立直り支援等
 少年相談や街頭補導活動を通じてかかわった少年に対し、家庭、学校、交友関係その他の環境が改善されるまで、本人や保護者等の申出に応じて、面接、家庭訪問、社会奉仕活動や運動への参加を通じて立直りに向けた指導・助言を行っている。また、いじめや性犯罪の被害を受けた少年に対しては、継続的に悩みを聞いたり、カウンセリングを行ったりしている。
〔4〕 広報啓発活動
 学校で非行防止教室、薬物乱用防止教室等を開催するとともに、地域住民や少年の保護者が参加する非行問題に関する座談会を開催するなどして、少年非行・犯罪被害の実態や少年警察活動についての理解を促している。

(2)学校その他関係機関との連携確保
〔1〕 少年サポートチーム
 個々の少年の問題状況に応じた的確な対応を行うため、学校、警察、児童相談所等の担当者から成る少年サポートチームを編成して、それぞれの専門分野に応じた役割分担の下、少年への指導・助言を行っている。また、少年サポートチームの効果的な運用を図るため、警察庁と文部科学省が合同で、都道府県警察や関係機関・団体の実務担当者等に対する研修を実施している。
〔2〕 学校と警察との連携
 教育委員会等と警察との間で締結した協定等に基づき、非行少年等問題を有する児童生徒に関する情報を学校と警察が相互に通知する「学校・警察連絡制度」が、平成20年4月1日現在、45都道府県で運用されている。また、警察署の管轄区域や市区町村の区域を単位に、全都道府県で約2,100の学校警察連絡協議会が設けられている。
〔3〕 スクールサポーター
 スクールサポーター制度とは、警察官を退職した者等を警察署等に配置し、学校からの要請に応じてこれらの者を学校に派遣して、学校における少年の問題行動等への対応、巡回活動、相談活動、児童の安全確保に関する助言等を行う制度である。20年4月1日現在、40都道府県で導入され、約500人が配置されている。
 
 図1-42 スクールサポーター
図1-42 スクールサポーター

(3)少年警察ボランティアとの連携
 警察では、平成20年4月1日現在、全国で少年補導員(注1)約5万3,000人、少年警察協助員(注2)約400人、少年指導委員(注3)約6,800人等の少年警察ボランティアを委嘱しており、協力して街頭補導活動その他少年の健全育成のための活動を推進している。

注1:街頭補導活動、環境浄化活動を始めとする幅広い非行防止活動に従事している。
 2:非行集団に所属する少年を集団から離脱させ、非行を防止するための指導相談に従事している。
 3:風営適正化法に基づき、都道府県公安委員会から委嘱を受け、少年を有害な風俗環境の影響から守るための少年補導活動や風俗営業者等への助言活動に従事している。

 
 少年警察ボランティアによる街頭補導活動
少年警察ボランティアによる街頭補導活動

(4)少年事件対策
 警察では、少年事件の担当警察官の増強を進めるとともに、少年事件特別捜査隊等を編成し捜査員を集中投入するなどして、少年事件の捜査体制を充実・強化している。また、警視庁及び道府県警察本部に少年事件指導官を設置し、少年の特性や少年審判の特質を踏まえた少年事件捜査・調査が行われるよう、警察署等への指導を行っている。

 第3節 少年の非行防止と健全育成

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