第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

第3節 少年の非行防止と健全育成

1 少年非行の概況

(1)少年非行情勢
 平成19年中の刑法犯少年の検挙人員は、4年連続で減少した。また、刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は10年連続で減少し、昭和33年以来49年ぶりの低い割合となった。しかしながら、同年齢層人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員は成人(2.5人)の5.5倍で、いまだ高い水準にある。
 平成19年中の触法少年の補導人員は前年に比べ減少したものの、依然として高水準で推移している。不良行為少年の補導人員は前年に比べ増加し、14年以降100万人を超える状態が続いている。
・ 19年中の刑法犯少年の検挙人員・・・10万3,224人(前年比9,593人(8.5%)減)
・ 19年中の刑法犯総検挙人員に占める少年の割合・・・28.2%(前年比1.2ポイント減)
・ 19年中の同年齢層の人口1,000人当たりの刑法犯少年の検挙人員・・13.8人(前年比1.0人減)
 
 図1-39 刑法犯少年の検挙人員、人口比の推移(昭和24~平成19年)
図1-39 刑法犯少年の検挙人員、人口比の推移(昭和24年~平成19年)
 
 表1-27 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成10~19年)
表1-27 触法少年(刑法)の補導人員の推移(平成10~19年)
 
 表1-28 不良行為少年の補導人員の推移(平成10~19年)
表1-28 不良行為少年の補導人員の推移(平成10~19年)

(2)平成19年中の少年非行の主な特徴
〔1〕 刑法犯少年
 平成19年中に検挙した少年の包括罪種別検挙人員は表1-29のとおりであり、いずれも前年より減少した。一方、少年による重大な事件が続発し、社会の注目を集めた。
 
 表1-29 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成10~19年)
表1-29 刑法犯少年の包括罪種別検挙人員の推移(平成9~19年)

事例1

 有職少年(18)ら6人は、19年2月、被害者の胸部、頸部等を果物ナイフで突き刺し、1人を殺害し、1人に傷害を負わせた。同年3月までに、殺人罪及び殺人未遂罪で逮捕した(警視庁)。

事例

 男子高校生(17)は、19年5月、就寝中の実母の頸部を包丁で刺して殺害し、頭部を切断した。同月、切断した頭部を持って警察へ出頭してきたところを殺人罪で逮捕した(福島)。

〔2〕 再犯者
 19年中の刑法犯少年の再犯者数は4年連続で減少した。また、再犯者の人口比(注)も同様に減少しているが、成人の再犯者の人口比(1.1)の3.9倍となっている。

注:同年齢層の人口1,000人当たりの再犯者数

 
 図1-40 刑法犯少年の再犯者数及び再犯者の人口比の推移(平成10~19年)
図1-40 刑法犯少年の再犯者数及び再犯者の人口比の推移(平成10~19年)

コラム3 低年齢少年の特性に配慮した調査について

 触法少年に係る事件の調査(以下「触法調査」という。)の手続等に関する規定を整備した少年法等の一部を改正する法律が19年11月から施行されたことに伴い、警察では少年警察活動規則を改正し、触法調査に当たって配慮すべき事項等を具体的かつ明確に規定するとともに、ぐ犯少年に係る事件の調査についても、調査に携わる警察官等が配慮すべき事項等をより明確に規定した。
 これらの調査については、調査に携わる警察官等が低年齢少年の特性について深い理解をもって当たることが重要である。警察では、各種指導教養の充実強化等を進め、低年齢少年の特性により一層配慮した調査に努めている。

 第3節 少年の非行防止と健全育成

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