トピックス 

トピックスIV 未決拘禁制度改革
~刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の施行~

 刑事収容施設法の施行を踏まえ、更に留置業務の適正を図っていきます。

 明治41年に制定された監獄法は、被留置者の権利義務に関する規定が不明確で、人権保障の観点等から不十分な内容であったことから、被留置者の権利義務関係を明確にし、その人権を尊重しつつ適切な処遇を行うための法整備の必要性が指摘されていました。これを踏まえ、これまで3回(昭和57年、昭和62年及び平成3年)にわたり留置施設法案が国会に提出されてきましたが、いわゆる代用監獄として警察の留置施設を使用することを恒久化するものであるなどとして、いずれも成立には至りませんでした。
 こうした中、17年5月には、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律が成立し、受刑者の権利義務関係が明確にされましたが、受刑者と未決拘禁者との間で処遇の不均衡を生じ得る状況はいまだ解消されませんでした。そこで、警察庁は法務省と共に「未決拘禁者の処遇等に関する有識者会議」を発足させ、未決拘禁者の処遇の在り方について検討を進めました。そして、未決拘禁者の処遇等について規定するための法律案(刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案)を18年の第164回国会に提出し、この一部改正法案は同年6月に可決・成立しました。
 この一部改正法は19年6月1日から施行され、法律名は刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設法」といいます。)に改められました。この法律の制定により、被留置者等の権利義務関係の明確化等が図られたことから、警察としては、今後とも、同法に基づき、更に適切な留置業務を推進していくこととしています。
 
 図IV-1 監獄法改正の経緯
図IV-1 監獄法改正の経緯

(1)法改正等の経緯

 平成18年6月に刑事収容施設法が整備されるまでの間の経緯は、次のとおりです。

(2)刑事収容施設法の概要

 留置施設の設置、管理運営等に関する事項のほか、これまで法律に規定のなかった被逮捕者を含め、未決拘禁者の処遇について、以下のとおり必要な規定が整備されました。
 
刑事収容施設法の概要

(3)刑事収容施設法における新たな取組み ~留置施設視察委員会の設置~

 刑事収容施設法では、被留置者の処遇に関する規定が整備される一方、留置施設の運用状況について透明性を高めるため、部外の第三者から成る機関として、留置施設視察委員会(以下「委員会」といいます。)の制度が新たに設けられました。委員会は警視庁及び道府県警察本部(方面本部を含みます。)に設置され、弁護士等の法律関係者や医師、地域の住民等から成る10名以内の委員で構成されます。各委員は、留置施設を実際に視察し、被留置者と面接するなどして留置施設の実情を把握した上で、委員会として留置業務管理者(警察署長等)に意見を述べるものとされており、警察本部長は、委員会からの意見及びこれを受けて警察が講じた措置の概要を公表することとされています。この制度によって、留置施設の運営の透明化が確保されることが期待されます。
 
 図IV-2 視察委員会委員の職業別割合
図IV-2 視察委員会委員の職業別割合
 
 図IV-3 留置施設視察委員会の活動
図IV-3 留置施設視察委員会の活動
 
 視察委員会による視察の様子
視察委員会による視察の様子

 IV 未決拘禁制度改革 ~刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の施行~

前の項目に戻る     次の項目に進む