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トピックスIII 北海道洞爺湖サミットの成功に向けて

 平成20年7月7日から9日までの間、北海道において主要国首脳会議(サミット)が開催されます。サミットの成功のため、皆様の御理解と御協力をお願いします。

 主要国の首脳が一堂に会するサミットは、テロリストにとって格好の攻撃対象と言われています。テロの脅威等が高まりをみせる中、この機会に我が国がテロの標的になる可能性も否定できません。
 サミットの警備の実施に当たっては、検問、交通規制等、国民生活に御不便をお掛けすることがあります。また、仮に不審物等を発見した際には、速やかに警察への通報をお願いします。
 警察では、テロの未然防止等に万全を期し、サミット開催国としての治安責任を全うするよう最大限の努力をしてまいりますが、サミット警備を成功させるためには、国民の皆様のお力添えが必要です。国民の皆様のより一層の御理解と御協力をお願いいたします。

(1)過去のサミットの開催状況

〔1〕 諸外国で開催されたサミット
 2005年(平成17年)7月、英国で開催されたグレンイーグルズ・サミットでは、その開催中、ロンドン中心部で地下鉄とバスが攻撃対象となる同時多発テロ事件が発生し、56人が死亡し、約700人が負傷しました。このテロは、イスラム過激派によるものとされています。
 また、サミットは、貧富の差の拡大や環境破壊等様々な問題を引き起こす自由主義経済を推進する先進国の首脳が一堂に会する場であるなどとして、反グローバリズムを掲げる団体の抗議対象ともなっています。これらの団体は、ハイリゲンダム・サミットを始めとして、サミット開催に合わせて、会場周辺や付近の大都市等において大規模なデモ等を行い、その過程で一部の暴徒がサミット会場に通じる道路を封鎖したり、地元の飲食店に投石し、破壊するなどの違法行為を行っています。
 
 表III-1 近年のサミットの開催状況(平成13~19年)
表III-1 近年のサミットの開催状況(平成13~19年)
 
 英国における同時多発テロ(時事)
英国における同時多発テロ(時事)
 
 死者1人が出たイタリア・ジェノバ・サミット(時事)
死者1人が出たイタリア・ジェノバ・サミット(時事)

〔2〕 我が国で開催されたサミット
 我が国では、過去4回サミットが開催されています。極左暴力集団は、サミットの開催に対して「アジア侵略サミット粉砕」等と主張し、過去4回のサミットにおいて、会場周辺に活動家等延べ約1万5,800人を動員し、集会、デモ等を行い、反対行動に取り組みました。
 また、極左暴力集団は、迎賓館に向けた爆発物発射事件(昭和61年5月4日。中核派(注1))、米軍横田基地に向けた飛翔弾発射事件(平成12年7月3日。革労協(注2)反主流派)等、式典会場、米軍関連施設等に対する事件を引き起こしました。

注1:正式名称を日本革命的共産主義者同盟全国委員会といいます。
 2:正式名称を革命的労働者協会といいます。


(2)我が国におけるサミット開催をめぐる情勢

 以上のとおり、近年のサミットの開催状況等からも、我が国におけるサミット開催をめぐる情勢は、極めて厳しいものであるといえます。冒頭で述べた国際テロ情勢のほか、世界的に過激な抗議行動がみられる反グローバリズム運動については、国内外の団体が連携して、抗議集会、デモ等に取り組むことが予想されます。
 このほか、極左暴力集団については、抗議集会、デモ等を行うとともに、「テロ、ゲリラ」事件を引き起こすことが懸念され、また、右翼についても、米国やロシアの批判活動等に取り組むものとみられます。
 
 機動隊によるデモの規制
機動隊によるデモの規制

(3)警察による警備諸対策

 警察では、サミットをめぐる厳しい諸情勢を踏まえ、国内外の要人等の安全と関係行事の円滑な進行等を確保するため、関係機関との緊密な連携、機動隊を始めとした警備実施に当たる部隊の練度の向上、部隊の広域運用等の態勢強化を早い段階から図るとともに、サミット開催に向けて次の警備諸対策を推進することにより、万全の警戒警備を期することとしています。

〔1〕 テロ対策
 テロ等不法事案の未然防止のため、関係省庁、外国治安情報機関等との連携を図り、水際対策や重要施設の警戒等を徹底していきます。このため、サミット会場周辺や空港等において、不審者や不審物を発見するために、検問を行い、そこで行き先をお尋ねしたり、持ち物や車両のトランクの中等を見せていただくことがあります。
 また、重大テロ事件の発生に備えて、特殊部隊(SAT)(注3)、銃器対策部隊、NBCテロ(注4)対応専門部隊の装備資機材の充実強化を図るとともに、実践的な訓練を徹底するなど、テロ対処能力の向上に努めていきます。

注3:Special Assault Team
 4:N(Nuclear:核)、B(Biological:生物)、C(Chemical:化学)物質を使用したテロ


〔2〕 デモ・暴動対策
 開催期間中に行われるデモ等を適切に規制し、違法行為を封圧するため、機動隊等では実践的な訓練を実施し、練度の向上に努めていきます。

〔3〕 要人警護対策
 サミット開催時には、主要8か国(G8)(注5)各国を始め多数の国の首脳が同時に我が国を訪れることから、要人を対象としたテロ等不法事案の発生が懸念されます。
 これら各国首脳等に対する警護の万全を期するため、各国警備当局や関係省庁等と緊密に連携して計画を作成するとともに、要人の警護に当たる警護員の実践的な訓練を徹底するなど、対処能力の向上を図ります。
注5:日本、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア及びロシア

 
 警護員の訓練
警護員の訓練

〔4〕 交通対策
 サミット開催時には、各国首脳の移動を始め、関係する交通の安全と円滑を確保するために、会場周辺等において交通規制を行うこととなります。警察では、国民生活に及ぼす影響を最小限にとどめるよう努めるとともに、交通総量の抑制についてのお願いや、具体的な交通規制の予定等について国民の皆様への広報を行っていくこととしています。

 III 北海道洞爺湖サミットの成功に向けて

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