第5章 公安委員会制度と警察活動の支え 

8 警察の情報通信

 警察の情報通信は、警察活動を支える不可欠な基盤である。警察では、事件、事故及び災害がどこでどのように発生しても即座に対応できるよう、各種の情報通信システムを独自に開発し、それらを全国に整備するとともに、システムの高度化に努めている。

(1)警察活動を支える警察情報通信

〔1〕 危機管理を支える警察情報通信
 警察では、独自に整備し、維持管理している無線多重回線、電気通信事業者の専用回線、衛星通信回線等により構成される全国的なネットワークにより、警察庁、管区警察局、警察本部、警察署、交番等を結ぶほか、各種の移動通信システムを構築することにより、警察業務を遂行する上で不可欠な情報を伝達している。
 システムの管理、運営等のため、各都道府県に国の機関である情報通信部が設置され、都道府県警察の業務を支えている。また、広域・重大事案発生時の通信施設の運用に関する指導・調整等のため、各管区警察局に情報通信部が設置されている。

〔2〕 警察情報管理システム
 警察では、盗難車両、家出人等に関する情報を警察庁のコンピュータに登録することで第一線の警察官からの照会に即時に回答したり、運転免許証に関する情報を全国一元管理することで運転免許証の不正取得を防止したりするための警察情報管理システムを構築している。
 
 図5-19 警察活動を支える情報通信システム
図5-19 警察活動を支える情報通信システム

(2)機動警察通信隊の活動

 機動警察通信隊は、各都道府県情報通信部に設置されており、事件、事故又は災害の発生時には、警察本部と現場警察官との間の指揮命令や連絡が円滑に行われるよう、速やかに出動して通信対策を行っている。
 平成18年においても、梅雨前線の活発化による大雨被害の発生時のほか、警衛、警護や各種イベントの雑踏警備等において、状況把握や指揮命令のために必要な災害現場等の映像を警察庁や警察本部等へ伝送するため、ヘリコプターテレビシステムや衛星通信車等を活用し、また、臨時の無線回線を設定して、警察活動を行うために必要な通信を確保した。
 
 大雨災害現場において映像伝送を行う機動警察通信隊
大雨災害現場において映像伝送を行う機動警察通信隊
 
 ヘリコプターからの映像を中継する機動警察通信隊
ヘリコプターからの映像を中継する機動警察通信隊


コラム1 政府の危機管理に貢献する警察情報通信

 大規模な自然災害、重大な事件、事故等が発生した場合には、政府は、初動措置を講ずるため、首相官邸にある危機管理センターにおいて、関係機関からの情報を集約する。
 警察庁では、信頼性・安全性の高い警察の情報通信システムにより伝送された現場の映像を危機管理センターに提供し、政府の危機管理の一翼を担っている。
 平成18年11月、北海道常呂郡佐呂間町において竜巻が発生した際には、警察庁では、機動警察通信隊の迅速な活動によって伝送された被災地の映像を、危機管理センターにいち早く提供し、政府の初動対応に貢献した。
 
災害等の現場から首相官邸への映像伝送


 8 警察の情報通信

前の項目に戻る     次の項目に進む