第4章 公安の維持と災害対策 

11 災害対策

(1)自然災害と警察活動

 平成18年中は、台風、大雨、強風、高潮、地震及び津波により、死者55人、行方不明者3人、負傷者676人等の被害が発生した。14年から18年までの自然災害による主な被害状況は、表4-7のとおりである。
 
 表4-7 自然災害による主な被害状況(平成14~18年。19年4月30日現在)
表4-7 自然災害による主な被害状況(平成14~18年。19年4月30日現在)

〔1〕 梅雨、台風等
 18年中は、6月下旬及び7月中旬から下旬までの間、九州地方から関東地方にかけて、梅雨前線の活発化により大雨となり、多くの市町村で24時間雨量が観測開始以来最大を記録した。この大雨により、死者・行方不明者32人等の被害が発生した。
 また、18年中は23個の台風が発生し、うち日本に2個が上陸し、10個が接近した。これらの台風により、死者・行方不明者10人等の被害が発生した。
 さらに、18年11月7日、北海道佐呂間町において竜巻が発生し、死者9人、負傷者31人等の被害が発生した。
 関係都道府県警察では、これら災害の発生に際し、災害警備本部等を設置して、被害情報の収集を行うとともに、被災者の救出救助、行方不明者の捜索等の災害警備活動を実施した。警察庁では、災害警備連絡室を設置し、関連情報の収集や関係機関との連絡調整を行うなど必要な措置を講じた。
 
 梅雨前線に伴う大雨による行方不明者の捜索に当たる警察官
梅雨前線に伴う大雨による行方不明者の捜索に当たる警察官
 
 佐呂間町における竜巻による行方不明者の捜索に当たる警察官
佐呂間町における竜巻による行方不明者の捜索に当たる警察官

〔2〕 地震
 18年中は、日向灘を震源とするマグニチュード5.5の地震、伊豆半島東方沖を震源とするマグニチュード4.5の地震、大分県西部を震源とするマグニチュード6.2の地震等が発生し、負傷者13人等の被害が発生した。また、19年3月には、能登半島沖を震源とするマグニチュード6.9の地震が発生し、死者1人、負傷者337人等の被害が発生した(19年5月30日現在)。
 このほか、18年11月に発生した千島列島東方を震源とするマグニチュード7.9の地震に伴い、北海道太平洋沿岸東部及びオホーツク海沿岸に津波警報が発表されたが、この津波による人的被害はなかった。なお、三宅島では最大84センチメートルの津波を観測した。
 関係道県警察では、これらの地震等の発生に伴い、総合警備本部等を設置して、所要の災害警備活動を実施した。警察庁では、災害警備本部を設置するなどして、必要な措置を講じた。

(2)広域緊急援助隊の活動

〔1〕 広域緊急援助隊の概要
 広域緊急援助隊は、大規模災害に広域的かつ迅速に対応するため、各都道府県警察に設置された部隊であり、機動隊員、交通機動隊員等の中から指定された約4,700人の隊員により構成されている。
 平成17年4月には、16年10月に発生した新潟県中越地震の教訓を踏まえ、極めて高度な救出救助能力を持つ特別救助班(P-REX)(注1)が12都道府県警察(注2)に設置されるとともに、18年3月には、迅速かつ的確な検視や遺族等への遺体の引渡し、安否情報の提供を行う刑事部隊が各都道府県警察に設置されるなど、広域緊急援助隊の態勢強化が図られている。
 19年3月の能登半島沖を震源とする地震では、新潟、愛知、岐阜及び福井の各県警察から、延べ380人の広域緊急援助隊が石川県に派遣され、被災者の安否確認等に当たっており、各都道府県警察の災害対応の中核として活躍している。

注1:Police Team of Rescue Experts
 2:北海道、宮城、警視庁、埼玉、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、広島、香川及び福岡

 
 図4-20 広域緊急援助隊の概要
図4-20 広域緊急援助隊の概要

〔2〕 特別救助班の活動
 特別救助班は、約200人の要員で構成され、これまで、JR西日本福知山線列車事故(17年4月発生)、JR東日本羽越線(特急)列車事故(同年12月発生)等に出動し、被災者の救出救助等に当たった。
 特別救助班は、廃屋等を活用した実践的訓練、関係機関との合同訓練等を行い、救出救助能力の向上に努めている。
 
 特別救助班のシンボルマーク
特別救助班のシンボルマーク
 
 取り壊し予定の庁舎を活用して訓練を行う特別救助班等
取り壊し予定の庁舎を活用して訓練を行う特別救助班等

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