10 警備実施
(1)警衛・警護警備
〔1〕 警衛警備
天皇皇后両陛下は、平成18年中、第57回全国植樹祭(5月、岐阜県)、第61回国民体育大会(9月、兵庫県)、第26回全国豊かな海づくり大会(10月、佐賀県)への御臨席等のため行幸啓になった。
皇太子殿下は、同年中、第61回国民体育大会冬季大会(1月、北海道)への御臨席等のため行啓になった。
海外へは、天皇皇后両陛下が、我が国との外交関係樹立40周年に当たりシンガポールを、プミポン国王陛下即位60年記念式典御臨席のためタイ(6月、マレーシアお立ち寄りを含む。)をそれぞれ御訪問になった。このほか、皇太子殿下が第4回世界水フォーラム開会式御臨席等のためメキシコ(3月、カナダお立ち寄りを含む。)を御訪問になるなど皇族方が合計7回御訪問又は御旅行になった。
また、9月には秋篠宮同妃両殿下の第一男子として、悠仁親王殿下が御誕生になった。
このような情勢の中で、警察は、皇室と国民との間の親和に配意した警衛警備を実施し、御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏事故防止を図った。
第26回全国豊かな海づくり大会御臨席等に伴う警衛警備
〔2〕 警護警備
小泉首相(当時)は、18年中、首脳会談出席等に伴うカナダ及びアメリカ訪問(6月)、サンクトペテルブルク・サミット出席等に伴うイスラエル、パレスチナ、ヨルダン及びロシア訪問(7月)、アジア欧州会合第6回首脳会合出席等に伴うフィンランド訪問(9月)等を行った。
また、安倍首相は、首脳会談出席等に伴う中国及び韓国訪問(10月)、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議出席に伴うベトナム訪問(11月)等を行った。
国内においては、自由民主党総裁の任期満了に伴う総裁選挙が行われ、安倍晋三氏、麻生太郎氏、谷垣禎一氏が立候補し、全国10か所で開催されたブロック大会で討論会を行うとともに、4都道府県において街頭演説を行った。さらに、故橋本龍太郎元首相の内閣・自由民主党合同葬儀が8月8日、東京都内で行われ、国内外の要人が多数参列した。また、ビヤ・カメルーン大統領夫妻(4月)、ユドヨノ・インドネシア大統領夫妻(11月)、シン・インド首相夫妻(12月)等の外国要人が来日した。
警察では、テロ等の違法事案が懸念される厳しい情勢の下、的確な警護警備諸対策を推進して要人の身辺の安全を確保した。
中国の歓迎式典に臨む安倍首相(共同)
(2)機動隊の活動
〔1〕 機動隊の種類と機能
都道府県警察には、集団警備力によって有事即応体制を保持する常設部隊として機動隊が設置されているほか、管区機動隊、第二機動隊等が設置されており、また、各種警察事案に対応できるよう機能別部隊が編成されている。
図4-17 機動隊の概要
機動隊の訓練
レスキュー部隊
〔2〕 機動隊の任務と活動
機動隊は、危機管理のための集団警備力の中核として、各種の警備に当たっている。また、機能別部隊は、その専門能力をいかした捜査活動や人命救助活動等に従事している。
図4-18 機動隊の活動
(3)雑踏警備
警察では、雑踏事故の未然防止を図るため、あらかじめ、行事の主催者や施設の管理者等に対して必要な安全対策をとるよう要請しているほか、警察部隊の投入が必要と判断される場合には、所要の雑踏警備を実施している。また、平成13年7月に兵庫県明石市で発生した雑踏事故の教訓を踏まえ、基本事項の再徹底、雑踏事故防止のための体制の確立に努めている。
図4-19 雑踏警備の流れ
表4-6 雑踏警備実施の推移状況(平成14~18年)