第3章 安全かつ快適な交通の確保 

13 高速道路における交通警察活動

(1)高速道路ネットワークの現状

 高速道路(高速自動車国道及び指定自動車専用道路をいう。以下同じ。)は、年々、路線数が増加し、総延長距離も延伸している。
 今後、建設が見込まれる列島横断道路として整備される路線は、中央帯により往復の方向別に分離されていない非分離二車線の区間や山間部を通過する区間が多いことから、安全対策や雪氷対策が重要となる。また、二輪車のETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)は本格運用が開始され、スマートインターチェンジ(注)も本格運用に向けて動き出したところであり、多様な状況に対応した的確な交通管理が求められている。

注:高速道路に付設されたサービスエリア、パーキングエリア、バス停留所等に、一旦停止型のETC専用ゲートを新設し、最寄りの一般道に出入りできるようにしたインターチェンジ

 
 表3-10 高速道路の路線数(平成14~18年)
表3-10 高速道路の路線数(平成14~18年)
 
 表3-11 高速道路の総延長距離(平成14~18年)
表3-11 高速道路の総延長距離(平成14~18年)

(2)高速道路における交通事故の現状

 平成18年中の高速道路における交通事故の現状は、図3-26のとおりであり、死者数は昭和62年以来18年ぶりに300人を切った昨年を更に下回った。また、発生件数も平成に入り最も少なかった。特徴としては、高速自動車国道の死者数は減少傾向にあるが、指定自動車専用道路は増減を繰り返している。18年は、貨物自動車による重大事故が多数発生し、9月には長野県内の中央自動車道において大型貨物自動車の単独事故をきっかけに車両17台の多重事故が発生し、4人が死亡した。
 
 図3-26 高速道路における死亡事故発生件数・死者数の推移(平成9~18年)
図3-26 高速道路における死亡事故発生件数・死者数の推移(平成9~18年)

(3)高速道路における交通の安全と円滑の確保

〔1〕 大型貨物自動車の交通事故防止対策
 警察では、最も左側の車両通行帯を大型貨物自動車が通行しなければならないものとして指定する交通規制(第一通行帯通行区分規制)を東名高速道路等9路線の区間(平成19年3月末現在)において実施している。また、道路の管理者や関係機関・団体と協力し、大型貨物自動車の交通事故防止に関する広報・啓発に努めている。
 
 大型貨物自動車の交通事故現場
大型貨物自動車の交通事故現場

〔2〕 適正な交通規制の実施と交通安全施設の整備
 警察では、高速道路の交通規制に当たっては、道路構造、気象条件、交通実態、交通事故発生状況等を勘案してその適正を期するとともに、適時、適切な見直しを行っている。
 また、道路の管理者との間で、建設段階においては道路の線形、ランプウェイの取付け位置等について、供用開始後は融雪・凍結防止装置、高機能舗装等の整備等について協議を行っている。中でも、非分離二車線区間については、対向車と衝突する事故が多く、死亡事故率が高いことから(完全分離四車線区間の4.5倍)、簡易分離施設の高度化や中央分離帯の設置等の安全対策を推進するよう働き掛けている。
 
 高機能舗装(排水性・薄層舗装)
高機能舗装(排水性・薄層舗装)
 
 簡易分離施設の高度化(ボックスビーム)
簡易分離施設の高度化(ボックスビーム)

〔3〕 逆走対策の推進
 近年、高齢者等による逆走交通事故が多発していることから、道路の管理者と協力して道路標識・道路標示を改良しているほか、関係機関・団体と協力して広報啓発活動を推進している。

〔4〕 交通指導取締り
 著しい速度超過、飲酒運転を始め、車間距離不保持、通行帯違反等の悪質性、危険性の高い違反に重点を置いた交通指導取締りを実施している。
 
 図3-27 高速道路における交通違反取締り件数の割合(平成18年)
図3-27 高速道路における交通違反取締り件数の割合(平成18年)
 
 交通違反の取締り
交通違反の取締り

 13 高速道路における交通警察活動

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