第3章 安全かつ快適な交通の確保 

第3章 安全かつ快適な交通の確保

1 平成18年の交通情勢

(1)道路交通の現況

〔1〕 車両保有台数
 我が国の車両保有台数は増加傾向にあり、平成18年末には約9,144万台となった。
 
 図3-1 車種別車両保有台数の推移(昭和51~平成18年)
図3-1 車種別車両保有台数の推移(昭和51~平成18年)

〔2〕 運転免許保有者数
 運転免許保有者は、年々増加している。また、人口構造の高齢化に伴い、運転免許保有者数に占める高齢者(65歳以上の者をいう。)の割合は年々高くなっており、この傾向は、今後さらに顕著になっていくものと考えられる。
 ・運転免許保有者数(18年末)・・・7,932万9,866人
 ・運転免許取得可能人口(16歳以上の人口)に占める運転免許保有者数(18年末)・・・男性は1.16人に1人、女性は1.65人に1人、全体では1.37人に1人
 ・運転免許保有者に占める高齢者の割合(18年末)・・・13.1%(1,038万8,859人)
 
 図3-2 運転免許保有者数の推移(昭和51~平成18年)
図3-2 運転免許保有者数の推移(昭和51~平成18年)

〔3〕 交通量
 交通量は一貫して増加していたが、15年度以降減少傾向にあり、17年度末の自動車走行キロ(自動車が走行した距離を表したもの)は、7,689億キロとなった。
 
 図3-3 自動車走行キロの推移(昭和51~平成17年度)
図3-3 自動車走行キロの推移(昭和51~平成17年度)

(2)交通事故の発生状況

〔1〕 概況
 平成18年中の死者数は6,352人で、昭和30年以来51年ぶりに6千人台前半となった。また、発生  件数及び負傷者数も、前年に引き続き減少した。
 ・発生件数・・・88万6,864件(前年比4万6,964件(5.0%)減)
 ・負傷者数・・・109万8,199人(前年比5万8,434人(5.1%)減)
 ・死者数・・・6,352人(前年比519人(7.6%)減)
 ・18年中の交通事故発生から30日以内の死者数・・・7,272人(前年比659人(8.3%)減)
 
 図3-4 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和41~平成18年)
図3-4 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和41~平成18年)

〔2〕 近年死者が減少している理由
 発生件数及び負傷者数は依然として高止まりの状態にあるものの、近年、死者数は減少傾向にある。その要因としては、シートベルト着用者率が向上して事故の被害が軽減されていること、高速で走行する車両の事故が減少していること、悪質・危険性の高い事故が減少していること、歩行中の死傷者の違反割合が減少していることなどが考えられる。

 ア シートベルト着用者率の向上
 平成18年中のシートベルト着用者の致死率は、非着用者の約10分の1であり、シートベルトが事故の被害軽減に果たす役割は大きいと認められる。シートベルト着用者率が5年以降向上していることが、自動車乗車中の死者数が減少していることの一因であると考えられる。

 
 図3-5 自動車乗車中の死傷者のシートベルト着用者率及び致死率の推移(平成9~18年)
図3-5 自動車乗車中の死傷者のシートベルト着用者率及び致死率の推移(平成9~18年)

 イ 事故直前の車両速度の低下
 18年中の80キロメートル毎時を超える高速の事故での死亡事故率は、80キロメートル毎時以下の36.6倍である。こうした高速の事故件数が大きく減少していることが、死者数が減少している一因であると考えられる。
 
 図3-6 一般道における危険認知速度(注)別交通事故件数の推移(平成9~18年)
図3-6 一般道における危険認知速度(注)別交通事故件数の推移(平成9~18年)

 ウ 悪質・危険性の高い事故の減少
 18年中の飲酒運転や最高速度違反による事故の死亡事故率は、全体と比べると飲酒運転が7.4倍、最高速度違反では17.7倍と高くなっている。これら悪質・危険性の高い事故が大きく減少していることが、死者数が減少している一因であると考えられる。
 
 図3-7 飲酒運転・最高速度違反による交通事故の構成率及び死者数の推移(平成9~18年)
図3-7 飲酒運転・最高速度違反による交通事故の構成率及び死者数の推移(平成9~18年)

 エ 歩行者の法令遵守
 18年中の歩行者の致死率を違反の有無別でみると、違反のある者は4.6%、違反のない者は1.5%となっている。近年、歩行中の死傷者数は横ばい傾向にあるものの、違反のある者の構成率が減少傾向にあり、これが、歩行中の死者数が減少している一因であると考えられる。
 
 図3-8 歩行中死傷者(1当及び2当)の違反構成率及び歩行中死者・死傷者数の推移(平成9~18年)
図3-8 歩行中死傷者(1当及び2当)の違反構成率及び歩行中死者・死傷者数の推移(平成9~18年)

〔3〕 交通死亡事故の発生状況
 ア 状態別にみた交通事故死者数
   ・ 自動車乗車中の死者数が2,359人で最多(全死者数の37.1%)
   ・ 自動車乗車中の死者数の減少(前年比363人(13.3%)減)が顕著
 
 図3-9 状態別交通事故死者数(平成17、18年)
図3-9 状態別交通事故死者数(平成17、18年)

 イ 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較
 後期高齢者(注1)、前期高齢者(注2)、若者(注3)の順に死者構成率が人口構成率より高くなっており、それぞれ、2.9倍、1.6倍、1.2倍となっている。

注1:75歳以上の者をいう。
 2:65歳以上74歳以下の者をいう。
 3:16歳以上24歳以下の者をいう。

 
 図3-10 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(平成18年)
図3-10 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(平成18年)

 ウ 状態別・年齢層別死者数の特徴
   ・ 自動車乗車中の死者数は、高齢者が若者を上回っている(自動車乗車中の死者数の28.6%)。
   ・ 自動二輪車乗車中の死者数は、若者が最も多い(自動二輪車乗車中の死者数の34.0%)。
   ・ 自転車乗用中の死者数は、後期高齢者が最も多い(自転車乗用中の死者数の33.6%)。
   ・ 歩行中の死者数は、後期高齢者が最も多い(歩行中の死者数の43.5%)。
 
 図3-11 状態別、年齢層別死者数(平成18年)
図3-11 状態別、年齢層別死者数(平成18年)

 1 平成18年の交通情勢

前の項目に戻る     次の項目に進む