第3節 来日外国人犯罪対策
1 来日外国人犯罪の情勢
社会経済の国際化や深刻な不法滞在者問題を背景として、来日外国人犯罪をめぐる情勢は依然として厳しい。こうした中、我が国に流入した外国人が不法滞在者等で構成される犯罪集団を形成し、不法な利益を獲得するために様々な犯罪を計画的に敢行している。これらが我が国の暴力団や外国に本拠を置く犯罪組織と連携して活動する傾向がみられ、治安への重大な脅威となっている。
(1)全般的傾向
過去10年間の来日外国人犯罪の検挙状況の推移は、図2-18のとおりである。平成18年中の総検挙件数及び総検挙人員は前年より減少したものの、過去10年間でそれぞれ1.3倍及び1.4倍に増加している。
図2-18 外国人入国者数及び来日外国人犯罪検挙状況の推移(平成9~18年)
罪種別にみると、窃盗犯の検挙件数は前年より減少したものの、過去10年間で1.2倍に増加しており、特に侵入盗を含む重要窃盗犯検挙件数は、2.3倍に増加した。
また、凶悪犯の検挙件数は過去10年間で1.4倍に増加しており、特にその凶悪犯の大部分を占める強盗の検挙件数は2.2倍に増加した。
表2-14 来日外国人窃盗犯検挙状況の推移(平成9~18年)
表2-15 来日外国人凶悪犯検挙状況の推移(平成9~18年)
事 例
中国人の男(26)ら14人は、16年7月ころから17年3月ころにかけて、共謀の上、関東地方及び東北地方に所在する住宅等に侵入し、家人等をガムテープ等で縛り上げて現金、貴金属等を奪う犯行を繰り返していた。18年10月までに、この中国人の男ら14人を強盗罪等で、情報提供を行っていた日本人3人を強盗の幇助罪で逮捕した。その後の捜査により、この中国人の男らは同様の手口で10件の強盗事件を敢行していたことが判明した。(警視庁、青森、宮城、茨城、埼玉、千葉)。
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(2)全国への拡散
過去10年間の来日外国人刑法犯の発生地域別検挙件数の推移は、図2-19のとおりである。東京都では、平成9年を除きほぼ横ばいであるのに対し、中部地方では3.6倍と大幅に増加し、北海道(3.1倍)及び四国地方(2.5倍)で全国平均を大きく上回るなど、来日外国人による犯罪が全国に拡散している傾向がより顕著になってきている。
図2-19 来日外国人刑法犯の発生地域別検挙件数の推移(平成9~18年)
(3)国籍・地域別検挙状況
平成18年中の来日外国人犯罪の検挙状況を国籍・地域別にみると図2-20のとおりであり、全体では中国(台湾、香港等を除く。)が最も大きな比率を占めている。罪種別にみると、侵入盗では中国が、自動車盗ではブラジルが最も大きな比率を占めている。
図2-20 来日外国人犯罪の国籍・地域別検挙状況(件数)(平成18年)