第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

8 カード犯罪

(1)カード犯罪の認知・検挙状況

 過去10年間のカード犯罪(注1)の認知・検挙状況の推移は次のとおりであり、平成18年中のカード犯罪の認知件数、検挙件数及び検挙人員は、いずれも前年より減少した。

注1:クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカード及び消費者金融カードを悪用した犯罪

 
 図1-25 カード犯罪の認知・検挙状況の推移(平成9~18年)
図1-25 カード犯罪の認知・検挙状況の推移(平成9~18年)

(2)カード犯罪の傾向と対策

〔1〕 カード犯罪の傾向
 検挙状況をみると、窃取・拾得し又は偽造したキャッシュカードを使用してATM等から現金を盗む事件及び偽造したクレジットカードを使用した詐欺事件が多く、この両者で4,877件に上り、カード犯罪全体の71.3%を占め、被害額は約20億円に上っている。
 その手口は巧妙化しており、警察官等を装い口座名義人から暗証番号を聞き出してATMから不正に現金を引き出すものがみられたほか、運動施設で客の所有するカードをひそかにスキミング(注2)するものもみられた。

注2:真正なカードのデータをスキマー(磁気情報読取装置)を用いて読み取る行為

 
 図1-26 カード詐欺の手口
図1-26 カード詐欺の手口

〔2〕 カード犯罪対策
 都道府県警察では、早期検挙のため一層徹底した捜査に努めているほか、警察署や交番等に金融機関の緊急連絡先一覧を備え付け、口座名義人からキャッシュカード等の盗難・紛失の届出があった場合に速やかなカードの利用停止を図るなど被害の拡大防止に努めている。また、警察庁では、カード犯罪の未然防止等を図るため、金融機関、クレジットカード発行会社、関係省庁等とカード犯罪の防犯対策等の情報交換を行うとともに、クレジットカード加盟店等に捜査や不正使用対策への協力を呼び掛けているほか、ウェブサイトでもカード犯罪に関する注意を喚起している。

 第1節 最近の犯罪情勢とその対策

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