第1章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

5 振り込め詐欺(恐喝)

(1)現状

 振り込め詐欺(恐喝)とは、いわゆるオレオレ詐欺(恐喝)(注1)、架空請求詐欺(恐喝)(注2)及び融資保証金詐欺(注3)の総称で、携帯電話等を利用して被害者に対面せず、現金を自己の管理する預貯金口座に振り込ませるなどしてだまし取る手口による詐欺又は同様の手口による恐喝である。

注1:親族を装うなどして電話をかけ、交通事故の示談金等の様々な名目で現金が至急必要であるかのように信じ込ませ、動転した被害者に指定した預貯金口座に現金を振り込ませるなどの手口による詐欺(又は同様の手口による恐喝)
 2:架空の事実を口実に金品を請求する文書を送付して現金を指定した預貯金口座に振り込ませるなどの手口による詐欺(又は同様の手口による恐喝)
 3:融資を受けるための保証金の名目で現金を指定した郵貯金口座に振り込ませるなどの手口による詐欺

 
 図1-18 振り込め詐欺(恐喝)の手口
図1-18 振り込め詐欺(恐喝)の手口

 振り込め詐欺(恐喝)の被疑者は、金銭の要求の名目を次々と変えたり、公的機関や正規の貸金業者を装うなど手口を巧妙化させている。平成18年中の振り込め詐欺(恐喝)の認知件数は1万8,538件件、被害総額は約249億8,000万円であり、依然として深刻な状況にある。
 警察では、第一線の捜査体制の強化及び被疑者の氏名、犯行手口等の捜査情報を一元的に集約するデータベースの構築を図るなどの対策を進めている。また、振り込め詐欺(恐喝)を助長する他人名義の預貯金口座や携帯電話の不正流通についても取締りを強化している。
 
 図1-19 振り込め詐欺(恐喝)の認知・検挙の状況
図1-19 振り込め詐欺(恐喝)の認知・検挙の状況
 
 図1-20 オレオレ詐欺(恐喝)要求名目別認知件数の推移
図1-20 オレオレ詐欺(恐喝)要求名目別認知件数の推移
 
 表1-2 振り込め詐欺(恐喝)の認知検挙状況
表1-2 振り込め詐欺(恐喝)の認知検挙状況
 
 図1-21 預貯金口座及び携帯電話の不正な供給行為の検挙人員
図1-21 預貯金口座及び携帯電話の不正な供給行為の検挙人員

(2)被害防止活動

 警察では、振り込め詐欺(恐喝)の被害拡大防止を図るため、関係機関と連携し、金融機関に対する口座凍結依頼、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律第8条第1項の規定に基づく携帯音声通信事業者に対する契約者確認を求め、金融機関等の窓口における被害者への注意喚起、犯人が現金を送らせた住所や詐称した会社名等の公表等の諸対策を進めている。
 
 被害防止諸対策
被害防止諸対策
 
 警察庁のウェブサイトにおける送金先住所の公表
警察庁のウェブサイトにおける送金先住所の公表
(※ウェブサイトでは番地、ビル名まで公表しています。)
 
 警察庁のウェブサイトにおける詐称会社名等の公表
警察庁のウェブサイトにおける詐称会社名等の公表

 第1節 最近の犯罪情勢とその対策

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