第3章 組織犯罪対策 

第4節 来日外国人犯罪対策

1 来日外国人犯罪の情勢

 社会経済の国際化や深刻な不法滞在者問題を背景として、来日外国人犯罪をめぐる情勢は厳しさを増している。こうした中、我が国に流入した外国人が犯罪集団を形成し、不法な利益を獲得するために様々な犯罪を敢行しており、また、これらが我が国の暴力団や外国に本拠を置く犯罪組織と連携して活動する動向がみられ、治安への重大な脅威となっている。

(1)全般的傾向
 平成17年中の来日外国人による刑法犯及び特別法犯の検挙件数は4万7,865件と、前年より737件増加し、過去最多となったが、検挙人員は2万1,178人と、前年より664人減少した。過去10年間で、検挙件数は1.7倍に、検挙人員は1.8倍に増加している。
 
 図3-13 外国人入国者数及び来日外国人検挙状況の推移(平成8~17年)
図3-13 外国人入国者数及び来日外国人検挙状況の推移(平成8~17年)
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 17年中の来日外国人による窃盗犯の検挙件数は2万8,525件と、前年より1,004件増加し、過去最多であった。特に顕著な増加傾向としては、住宅対象の侵入盗(前年比1,143件(16.3%)増)、自動車盗(前年比220件(23.0%)増)がともに大幅に増加して過去最多となったほか、ひったくり(前年比43件(122.9%)増)、すり(前年比344件(42.1%)増)が大幅に増加したことなどであった。
 
 図3-14 来日外国人窃盗犯検挙状況の推移(平成8~17年)
図3-14 来日外国人窃盗犯検挙状況の推移(平成8~17年)
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 来日外国人による凶悪犯の検挙件数、検挙人員は、過去10年間でともに1.9倍に増加している。中でも、強盗の検挙件数は、過去10年間で2.8倍に増加した。また、強盗の検挙件数に占める侵入強盗の割合は、被疑者が日本人の場合は39.8%であるのに対し、被疑者が来日外国人の場合は53.0%と高くなっている。
 
 図3-15 来日外国人凶悪犯検挙状況の推移(平成8~17年)
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事例
 中国出身の男(35)ら16人は、山口組傘下組織構成員(30)らから情報提供等の協力を受け、15年12月から16年1月にかけて、首都圏を中心として、高齢資産家宅の窓ガラスを破って侵入し、家人をガムテープで縛り上げて現金や貴金属を奪う犯行を繰り返していた。17年12月までに、実行犯の中国人12人、情報提供等の協力を行った山口組傘下組織構成員らの日本人7人を逮捕した(警視庁、山梨、千葉、神奈川)。

(2)全国への拡散
 平成17年中の来日外国人による刑法犯検挙件数を発生地域別にみると、過去10年間で、東京都ではほぼ横ばいで推移しているのに対し、中部地方では4.8倍と大幅に増加しており、北海道、四国地方等でもそれぞれ全国平均(1.7倍)を上回っており、来日外国人による犯罪が全国に拡散していることがうかがえる。
 
 図3-16 来日外国人刑法犯の発生地域別検挙件数の推移(平成8~17年)
図3-16 来日外国人刑法犯の発生地域別検挙件数の推移(平成8~17年)
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(3)国籍・地域別検挙状況
 平成17年中の来日外国人犯罪の検挙状況を国籍・地域別にみると、中国(台湾、香港等を除く。)が検挙件数(1万7,006件(来日外国人犯罪の検挙件数全体の35.5%))、検挙人員(8,691人(来日外国人犯罪の検挙人員全体の41.0%))共に際立って多い。
 来日外国人犯罪の検挙状況を更に罪種別にみると、侵入盗の検挙件数全体のうち65.7%を中国が、自動車盗の検挙件数全体のうち59.4%をブラジルが、それぞれ占めている。

 第4節 来日外国人犯罪対策

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