3 公安委員会の活動 (1) 国家公安委員会  国家公安委員会は、国務大臣たる委員長及び5人の委員によって組織されており、委員は内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。  国家公安委員会は、毎週木曜日に定例の会議を開催しているほか、必要に応じて臨時会議を開催している。平成16年中は、イラクにおける邦人人質事件の発生に当たり、4月と10月に臨時会議を開催した。会議では、所掌事務に属する事項について、審議、決裁を行うほか、警察庁から重要な事件、事故及び災害の発生状況等とこれらに対する警察の取組み、治安情勢の中長期的傾向とそれを踏まえた政策の方針等様々な警察業務に関する事項について、所要の報告を徴し、的確な管理を行っている。  16年中は、会計の監査に関する規則等、25の国家公安委員会規則を制定したほか、国家公安委員会が所管する事業を行う者等が講ずべき個人情報の保護のための措置に関する指針の策定等を行った。  また、会議開催日以外にも、委員相互の意見交換、警察運営上の課題に関する検討等の業務に当たるとともに、警察活動の視察等を通じて、警察運営の把握に努めている。  さらに、国家公安委員会の活動を国民に知らせ、国民の声をその運営に的確に反映させるため、ウェブサイトで定例会議の開催状況等を紹介するとともに、電子メール等により国民からの要望、意見を受け付けている。  警察庁に置かれた国家公安委員会会務官が、このような国家公安委員会の活動を補佐することにより、その充実が図られている。 事例1  16年10月、国家公安委員会委員長は、東京都渋谷区の歓楽街の治安情勢、風俗環境の状況等を視察し、業務多忙な交番に勤務する地域警察官を激励した。 地域警察官を激励する国家公安委員会委員長 事例2  16年11月、国家公安委員会委員は、長崎県を訪れ、長崎県公安委員会との意見交換を行ったほか、佐世保市教育委員会と少年非行の防止等について話し合った。 (2) 都道府県公安委員会  都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、都、道、府及び政令指定市を包括する県では5人、それ以外の県及び北海道の各方面では3人の非常勤の委員によって組織されており、委員は、都道府県知事が都道府県議会の同意等を得て任命する。  都道府県公安委員会は、おおむね月に3回ないし4回の定例会議を開催し、所掌事務に属する事項について、審議、決裁を行うほか、重要な事件、事故及び災害の発生状況等とこれらに対する警察の取組み、各都道府県の治安情勢の中長期的傾向とそれを踏まえた政策の方針等様々な警察業務について、所要の報告を徴し、的確な管理を行っている。  また、定例の会議以外にも、必要に応じて臨時に委員会を開催しているほか、公安委員会補佐室等を活用し、警察活動の視察や国民の要望を聴く活動を通じて、警察に対する管理機能の充実と活性化に努めている。 県公安委員会委員による駐在所の視察 事例1  予算執行をめぐる不適正事案に関し、北海道公安委員会は平成16年3月、福岡県公安委員会は同年4月、それぞれが管理する道県警察に対し、監察を実施してその結果を報告するよう指示した。両道県警察は、指示に基づき調査を行い結果を報告した。 事例2  平成16年(2004年)新潟県中越地震の発生を受け、16年10月、新潟県公安委員会は、臨時会議を開催して被害状況や警察が講じた措置に関する報告を受けるとともに、災害現場の視察を行った。 事例3  16年11月、宮崎県公安委員会は、警察署の視察及び職員との意見交換の結果を踏まえ、警察本部長に業務の改善に関する提言を行った。 (3) 公安委員会相互間の連絡  国家公安委員会と各都道府県公安委員会は、相互に緊密な連絡を保つため、各種の連絡会議を開催している。平成16年中は、国家公安委員会と全国の都道府県公安委員会との連絡会議を2回開催し、全国の治安情勢や予算執行をめぐる不適正事案等についての報告や意見交換を行った。  また、16年中は、各管区及び北海道において、管内の道府県公安委員会と方面公安委員会相互の連絡会議を合計14回開催し、国家公安委員会委員も参加した。さらに、都、道、府及び政令指定都市を包括する県に置かれる12の公安委員会相互の連絡会議を開催し、各都道府県の治安情勢やそれぞれの取組みについての報告や意見交換を行った。 公安委員会相互の連絡会議