6 交番機能の強化 (1) 「空き交番」解消計画の推進  交番は、地域住民の安全と安心のよりどころとなっているが、近年、対応を要する事件・事故等が急増していること、悪化する治安情勢に対応してパトロールを強化していることなどの要因により、交番に地域警察官が不在になることが多い、「空き交番」(注)が多数生じている。  その解消を求める国民の要望は強く、警察では、交番の地域警察官の増配置、交番の配置見直し、交番相談員の活用等によって「空き交番」を解消するための計画を策定し、地域住民の理解を得ながら取組みを進めている。  計画では、平成19年春を目途に「空き交番」を解消し、交番機能を強化することを目標とし、交番には原則として一当務に2人以上の地域警察官を配置することとしている。管内の警察事象が少ない交番は、例外的に5人以下(四交替制で運用している警視庁では7人以下)の配置となるが、このような交番については、交番相談員やパトカーによる補完体制を確立することとしている。  16年4月1日現在では「空き交番」は全国に1,925所(全交番の29.6%)あったが、17年4月1日現在、1,222所(全交番の18.9%。前年同期比703所減)まで減少した。 注:地域警察官の不在が常態化している交番。「空き交番」に該当しない交番であっても、事件・事故等に対応するため、配置されているすべての地域警察官が交番を一時的に不在にすることはあり得る。 図3-18 「空き交番」解消計画の進ちょく状況(平成16、17、19年) (2) 交番の体制強化  [1] 交番の地域警察官の増配置  平成13年度から17年度にかけて増員された地方警察官17,730人のうち、35%程度を交番機能強化のための要員とするとともに、警察内部の人員配置を見直すことにより、交番で勤務する地域警察官の増配置を行っている。  [2] 交番・駐在所の配置見直し  交番・駐在所の配置数や設置箇所は、地域の人口、世帯数、面積、行政区画及び事件・事故の発生状況等の治安情勢を勘案して決定することとしており、情勢の変化に応じ、適正で合理的な配置となるよう交番・駐在所の配置の見直しを行っている。  その結果、16年4月1日現在と17年4月1日現在の設置数を比べると、全国で、交番は54か所、駐在所は259か所減少した。 交番 (3) 交番の支援機能の充実  [1] 交番相談員の活用  平成17年4月1日現在、全国で約4,200人の交番相談員が配置され、都市部の主要な交番等で活躍している。  交番相談員は、警察官の身分を有しない非常勤の職員であり、交番等で事件・事故発生時の警察官への連絡、住民の意見・要望の聴取、遺失・拾得届の受理、被害届の代書及び預かり、地理案内等の業務に従事している。  その多くは、地域警察に関する経験や知識を有する、警察官を退職した者である。  交番相談員が配置されている交番では、地域警察官が、パトロールを始め交番の外で行う活動を強化することができ、また、交番に地域警察官が不在であった場合の来訪者の便宜が高まる。 交番相談員 図3-19 交番相談員数の推移(平成8~17年度。各年度末現在(16、17年度は4月1日))  [2] パトカーによる支援の強化  警察では、地域警察官が徒歩や自転車によるパトロールを行っている間、機動力に優れたパトカーがその交番・駐在所の管轄地域で発生した事件・事故への対応を行ったり、交番への立ち寄りを増やしたりするなどして、交番・駐在所とパトカーの地域警察官の連携を強化している。 パトカー  [3] 不在対策機器の設置  警察官や交番相談員が交番・駐在所に不在である場合でも、来訪者が警察に用件を告げることができるよう、警察では、受話器を上げただけで警察署とつながる電話、人の来訪をセンサーで感知して、警察署と音声で通話ができるようにする装置、来訪者が警察署の警察官の顔を見ながら用件を伝えることができるテレビ電話等の不在対策機器の整備を進めている。 テレビ電話 事例  16年10月、殴られて怪我をした女性が、被害を訴え出るため交番に来訪したが、警察官が不在であった。そこで、交番に設置されているテレビ電話を利用して、警察署にいる警察官に通報した。この通報により事案を把握した警察署では、パトカーを交番に向かわせ、迅速に女性を保護することができた(愛媛)。