8 ヤミ金融事犯、悪質商法等 (1) ヤミ金融事犯  平成16年中のヤミ金融事犯(注)の検挙事件数は432事件、検挙人員は919人と、いずれも統計開始以降最多であった15年に次いで多かった。 注:出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)違反(高金利)事件及び貸金業の規制等に関する法律違反事件並びに貸金業に関連した詐欺、暴行、脅迫等の事件 表3-7 金融事犯の検挙状況の推移(平成12~16年)  最近のヤミ金融事犯は、多重債務者の名簿を基に融資を勧誘したり、取立てや振り込みに他人名義、架空名義の携帯電話や預貯金口座を利用したりするなど、手口が巧妙化している。借入の事実を記したメモを居住先にはり付けたり、勤務先にファックスで送ったりするなど、悪質な取立てをする事例もみられた。  16年中の検挙事件のうち、暴力団が関与する事件が約3割を占めた。 無登録貸金業者らが頒布したチラシ 事例  無登録貸金業者ら18人が、多重債務者の名簿を基に融資を勧誘し、約9,800人に法定利息の約38倍から約45倍の高金利で約7億9,600万円を貸し付けた。16年7月までに、貸金業の規制等に関する法律違反(無登録)、出資法違反(高金利)及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(隠匿)で検挙した(大阪、福岡)。 (2) 悪質商法  [1] 資産形成事犯  平成16年中の資産形成事犯(注)の検挙事件数は10事件、検挙人員は78人で、被害額は約393億円であった。検挙事件はいずれも、「元本保証」、「高配当」等をうたい文句に多額の出資等をさせた事件で、1人当たりの被害額等は約440万円と、過去5年間で最高であった。 注:資産形成の各種取引に係る出資法、証券取引法、無限連鎖講防止法等の違反事犯 表3-8 資産形成事犯の検挙状況の推移(平成12~16年) 事例  宝石販売会社役員(42)ら7人は、13年3月から14年10月にかけて、「外国の記念金貨を購入すれば、関連会社が毎月高額で買い取り、100万円コースだと1年後に144万円を受け取ることができる」などと元本保証・高配当をうたい文句に出資を募り、顧客約3,800人から約91億円をだまし取った。16年10月までに出資法違反(預り金の禁止)及び詐欺罪で逮捕した(大阪)。  [2] 特定商取引等に係る事犯  16年中の特定商取引等事犯の検挙事件数は75事件、検挙人員は229人であった。高齢者等を対象に、居宅を訪問して建物を点検し、必要のない修繕工事を行う「点検商法」や、寝具等を強引に売りつける「押し付け商法」が目立った。 表3-9 特定商取引等に係る事犯の検挙状況の推移(平成12~16年) (3) その他の経済事犯  平成16年中の不動産取引をめぐる事犯の検挙事件数は58事件、検挙人員は119人で、検挙した事件の主な適用法令は、建設業法、宅地建物取引業法であった。  また、16年中の国際経済事犯の検挙事件数は14事件、検挙人員は29人であった。 事例  食肉業者の幹部らは、12年4月から15年8月にかけて、冷凍豚肉を輸入する際、差額関税制度(基準輸入価格より安い輸入豚肉に基準輸入価格との差額を課税する制度)を悪用し、実際の取引価格よりも高い価格に偽って輸入申告を行った。16年7月までに、同幹部ら10人を関税法違反で検挙した(兵庫)。