警察活動の最前線 

豆草鞋(まめわらじ)の駐在所
北海道警察岩見沢警察署東駐在所
立花昭彦 警部補

 


 今年で警察人生36年目、その大半を刑事として過ごしてきましたが、4年前からは駐在所で勤務しています。刑事係長であった頃は、周囲に部下や上司がいて、助けを得ることができました。しかし、駐在所では何事も一人でこなさなくてはなりません。また、刑事馬鹿とでもいうのでしょうか、刑事以外の仕事では何をしてよいのか皆目分からず、当初は大変苦労しました。
 そこで、まずは何とか町に溶け込みたいと思い、考えついたのは、看守勤務をしていたときに留置人から話を聞いた「豆草鞋づくり」でした。妻の助言もあり、私が編んだ豆草鞋を妻が交通安全のマスコットに仕上げ、手始めに、落とし物を届けてくれる子どもたちに手渡してみました。すると、あっという間に話が町内に知れ渡り、渡す相手も新入学児童やお年寄りなどに拡がり、町役場の依頼で妻と共に町民にマスコットづくりを指導することにもなりました。
 こうして町に溶け込むと、色々な話題や情報が聞こえてくるようになり、結果、窃盗犯を次々逮捕するなどの成果も上がり、町の人たちの信頼も得られるようになりました。私は今でも豆草鞋を作りながら、駐在所勤務で頑張っています。

 
鹿児島の顔「天文館」の安全を目指して
鹿児島県鹿児島中央警察署地蔵角交番
家村大介 巡査部長

 


 南九州最大の繁華街「天文館」を受け持つ地蔵角交番が私の仕事場です。昼はショッピング街、夜は歓楽街という2つの顔を併せ持つ不夜城のような地域です。そこで特に苦労するのは、事件・事故や地理案内に備え、出入りの激しいビルのテナント名を始め、管内の状況を隅々まで把握しなければならないこと、そして、酔客の喧嘩や保護などの処理に、体力、根気、時間を要することです。
 交番前で立番をしていると、時には心ない酔っぱらいから罵声を浴びせられることもありますが、多くの市民からは、「悪質な客引きもいなくなるし、喧嘩も起こらないのでとても心強い」と声を掛けていただき、大変に励みになります。このように市民の方々と直接触れ合い、仕事をする上での力をいただけるということが、最前線の現場で働く一番の喜びです。
 「天文館」の安全は、鹿児島県警察の「あんしん・かごしま」創造プログラムの柱の一つです。これからも地域や商店街の方々と力を合わせて街の安全を守り、鹿児島の顔「天文館」を家族連れで安心して遊べるような街にし、全国の皆さんに是非一度は行ってみたいと思ってもらえるようにしたいと願っています。

 

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