第7章 公安委員会制度と警察活動の支え |
治安回復のための3つの視点
視点1)国民が自らの安全を確保するための活動の支援 良好な治安は、警察のパトロールや犯罪の取締りのみによって保たれるものではなく、国民一人一人が地域において安全な生活の確保のための自発的な取組みを推進することが求められている。「安全確保のために何かしたい」という住民の思いを具体的な行動に昇華させていくことが重要であり、国は、情報の提供や防犯設備への理解の普及等を通じ、住民の自主的な取組みを支援していくことが必要である。 視点2)犯罪の生じにくい社会環境の整備 犯罪の取締りのみならず、犯罪の抑止に直接・間接に有効であると認められる取組みを推進し、犯罪の生じにくい社会環境を整備することが重要である。地域の連帯や家族の絆を取り戻し、犯罪や少年非行を抑止する機能を再生すること、道路、公園、建物等の設計に防犯の視点を織り込むこと、治安に及ぼす影響を踏まえた外国人受入れ方策を検討することなど、あらゆる観点から多面的かつ多角的に諸対策を推進することが重要である。 視点3)水際対策を始めとした各種犯罪対策 国際化・高度化する犯罪に的確に対応していくためには、従前以上に「省庁の壁」を超えた一層の連携と情報の有効活用が求められており、そのための枠組みの検討も視野に入れる必要がある。特に、水際対策は、的確な出入国管理が不可欠な上、その成否は関係省庁間の協働及び外国機関との連携が鍵を握っているため、国による横断的な取組みが特に期待される分野である。 |
コラム5 治安の悪化に対する国民の意識
17年1月から2月にかけて内閣府が実施した「社会意識に関する世論調査」では、治安の良さを「日本の誇り」であるとした回答の割合は18.0%と、5年12月の調査結果(52.1%)の約3分の1の水準に低下した。また、現在の日本で悪い方向に向かっていると思われるのはどのような分野かと聞いたところ、「治安」と答えた者の割合が最も高く、「景気」(38.5%)と答えた者の割合を上回り、過去最高の47.9%に達した。 |
「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」の骨子
1 平穏な暮らしを脅かす身近な犯罪の抑止
・ 地域連帯の再生と安全で安心なまちづくりの実現 ・ 犯罪防止に有効な製品、制度等の普及促進 ・ 犯罪被害者の保護 2 社会全体で取り組む少年犯罪の抑止 ・ 少年犯罪への厳正・的確な対応 ・ 少年の非行防止につながる健やかな育成への取組 ・ 少年を非行から守るための関係機関の連携強化 3 国境を越える脅威への対応 ・ 水際における監視、取締りの推進 ・ 不法入国・不法滞在対策等の推進 ・ 来日外国人犯罪捜査の強化 ・ 外国関係機関との連携強化 4 組織犯罪等からの経済、社会の防護 ・ 組織犯罪対策、暴力団対策の推進 ・ 薬物乱用、銃器犯罪のない社会の実現 ・ 組織的に敢行される各種事犯の対策の推進 ・ サイバー犯罪対策の推進 5 治安回復のための基盤整備 |
14 犯罪対策閣僚会議の取組み |
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