第7章 公安委員会制度と警察活動の支え 

4 管区警察局の活動

(1) 管区警察局の役割
 警察庁には、その地方機関として、東北、関東、中部、近畿、中国、四国及び九州の7つの管区警察局が設置されている。管区警察局は、警察庁が所掌する多岐にわたる事務を能率的に処理することができるよう設置されているものであり、警察庁の事務の一部を分担して所掌し、管内の府県警察の事務の調整、支援等を行っている。
 東京都と北海道の区域は、管区警察局の管轄外とされ、広域事案の処理等において必要がある場合には、警察庁の内部部局が直接に指揮監督等を行うこととされている。また、各管区警察局の府県情報通信部に相当する国の地方機関として、東京都警察情報通信部と北海道警察情報通信部が置かれている。

 
(2) 管区警察局の主な業務
 [1] 府県警察に対する監察
 年度ごとの監察実施計画に基づく監察のほか、随時の監察を実施し、警察事務の能率的な運営及び規律の保持に努めている。平成16年度中、各管区警察局が実施した府県警察に対する監察の回数は1,250回であった。管区警察局の監察機能は、12年以降の警察改革の一環として強化されたもので、13年4月、各管区警察局に総務監察部(関東管区警察局は監察部。四国管区警察局は17年4月から総務監察・広域調整部に改組)が設置された。

 [2] 広域調整
 組織犯罪対策や来日外国人犯罪対策、広域的な対処を必要とする重要事件の合同捜査・共同捜査等に関して、府県警察に対する指導・調整を行っている。また、悪天候時の高速道路の交通規制、飲酒検問や初日の出暴走対策等の一斉取締りの調整を行うなど、府県をまたがる交通管理・交通対策の斉一性を確保している。

事例1
 近畿管区警察局は、大阪府を拠点とする暴走族が、爆音を伴う暴走等を集団で行った事案の捜査について、関係府県警察の担当者を集めた捜査会議を開催するなど、指導・調整を行った。その結果、16年8月、大阪府警察、京都府警察及び滋賀県警察は、威力業務妨害罪及び道路交通法違反(共同危険行為等)で延べ105人を検挙した。

事例2
 九州管区警察局は、管内各県の犯罪情勢を分析し、その結果を公表して市民に注意を喚起している。16年は、管内の少年犯罪情勢、暴走族の実態等を分析した「少年犯罪・暴走族情勢マップ」、高齢者・女性を対象としたひったくり等の被害状況を分析した「高齢者・女性の犯罪被害危険度マップ」を作成した。

事例3
 16年11月、関東管区警察局は、サムターン回しやこじ破り等の侵入手口に対する捜査技術を向上させるため、捜査担当者を対象に「手口捜査実戦塾」を開催し、全国で敢行されている手口やその対策について指導した。

 
手口捜査実戦塾
手口捜査実戦塾

 [3] 大規模災害への対処
 大規模災害発生時には、被災情報の収集・分析に当たるとともに、機動警察通信隊や管区警察局ごとに編成される広域緊急援助隊の派遣に関する調整を行っている。

 
被害者を救助する広域緊急援助隊員
被災者を救助する広域緊急援助隊員

 [4] 警察の情報通信
 管区警察局には、情報通信部とその下部機関の各府県情報通信部が設置され、警察庁や都道府県警察を結ぶ情報通信網の整備・管理・開発に当たっている。また、管区警察局情報通信部に、「サイバーフォース」と呼ばれる組織を設置し、サイバーテロの未然防止、被害拡大防止に資する活動を行っている。

 [5] 捜査支援
 近年増加しているインターネット等を利用したサイバー犯罪に対処するため、管区警察局及び府県情報通信部の職員が府県警察の行う捜索差押、検証等の現場に臨場して、内部に記憶されている電磁的記録の破壊を防ぐとともに、証拠としての価値が失われないようコンピュータの設定や接続の状況を確認し、証拠となる電磁的記録を取り出すなどの技術的な支援を行い、都道府県警察の犯罪捜査を支えている。

 [6] 教育訓練
 各管区警察局に附置された管区警察学校では、主として警部補及び巡査部長の階級にある府県警察の職員を対象とした幹部教育、専門教育等を実施している。

 4 管区警察局の活動

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