第6章 公安の維持と災害対策 

8 日本共産党等の動向

(1) 日本共産党の動向
 [1] 党活動
 日本共産党は、平成16年1月の第23回党大会で綱領を改定し、マルクス・レーニン主義特有の用語や国民が警戒心を抱きそうな表現を削除、変更するなど、「革命」色を薄め、ソフトイメージを強調した。しかし、日本を米国の「事実上の従属国」とする現状規定、民主主義革命から社会主義革命に進む二段階革命論、幅広い勢力を結集する統一戦線戦術等、現綱領の基本路線に変更はなかった。
 改定後の綱領では、天皇制について、「民主主義及び人間の平等の原則と両立しない」として反対姿勢を堅持しつつも、「憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきもの」とし、改定前の「君主制を廃止」という直接的な表現を避けた。その後、同年11月には、不破哲三議長がデンマーク女王主催の晩さん会で天皇皇后両陛下と初めて同席したほか、同年12月には、党職員の勤務規定を改定し、建国記念の日、みどりの日、天皇誕生日の3祝日を「休日」とするなど、天皇制への対応に大きな変化がみられた。
 一方、党名問題については、不破議長が、同年8月の第2回中央委員会総会で、「日本共産党が「共産党」の名前を捨てて“普通の政党”になったら、大喜びするのは支配勢力」、「党名問題も階級闘争の焦点の一つ」と述べ、党名を変更しないことを明らかにした。

 [2] 党勢の推移
 16年1月の第23回党大会で明らかにされた日本共産党の党員数は約40万人と、12年の前回大会時の公表数約39万人よりわずかに増加したが、機関紙読者数は約173万人と、前回大会時の公表数約199万人より大きく減少した。

 
図6-9 党員・機関紙の増減(昭和52~平成16年)

図6-9 党員・機関紙の増減(昭和52~平成16年)
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 また、16年7月の第20回参議院議員通常選挙では、同党の議員20人中15人(比例代表8人、選挙区7人)が改選となり、沖縄を除く46選挙区に各1人ずつと比例代表に25人の候補者を擁立したが、当選者は比例代表の4議席(改選比11議席減)にとどまった。同党がすべての選挙区で議席を失ったのは、昭和34年(当時は「地方区」)以来45年ぶりであった。この結果、議席数は9議席となり、同党単独での議案提出権を失った。
 平成16年8月の第2回中央委員会総会では、「党の実力をつけなければ勝てない」ということを選挙の教訓とし、党員数50万人の党の建設等を提起した。

 
図6-10 参議院議員通常選挙における日本共産党の獲得議席の増減(昭和22~平成16年)

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(2) 全労連の動向
 日本共産党の指導、援助により結成された全労連(全国労働組合総連合)は、平成14年7月の第20回定期大会で創設を決議した「組織拡大推進基金」に基づき、組織人員を200万人とすることを当面の目標に勢力拡大に取り組んでいる。しかし、企業の倒産による人員整理といった要因を背景に組織拡大は進展せず、16年7月の第21回定期大会では、組織人員の現状について、「この2年間で約5万人減少し、132万8,000人となった」と報告した。
 これを受けて、同大会では、次回大会までの2年間で組織人員を現在より1割以上増加させることを目標に、パートタイマー、臨時職員等の組織化を柱として、引き続き組織拡大に取り組むこととした。

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