第5章 安全かつ快適な交通の確保 

第5章 安全かつ快適な交通の確保

1 交通安全教育と交通安全活動

(1) 交通安全教育
 [1] 指針
 国家公安委員会は、地方公共団体、民間団体等が効果的かつ適切に交通安全教育を行うことができるようにするとともに、都道府県公安委員会が行う交通安全教育の基準とするため、交通安全教育指針を作成し、公表している。
 指針には、交通安全教育を行う者の基本的な心構えのほか、教育を受ける者の年齢、心身の発達段階、通行の態様に応じた体系的な交通安全教育の内容及び方法が示されている。警察では、関係機関・団体と協力しつつ、この指針を基準として、幼児から高齢者に至るまでの各年齢層を対象に、交通社会の一員としての責任を自覚させるような交通安全教育を実施している。

 
幼児に対する交通安全教室
幼児に対する交通安全教室

 [2] 年齢層に応じた交通安全教育
 小学生、中学生に対しては、歩行者や自転車の利用者として必要な技能及び知識を習得させるための教育を行っている。
 高校生に対しては、運転免許を取ることのできる原動機付自転車や自動二輪車の安全な運転に関するもののほか、自動車の特性、事故を起こした際の運転者の責任等について理解を深めさせるための教育を行っている。
 成人に対しては、主に免許の取得時と取得後に交通安全教育を行っているほか、免許を取得していない者に対し、歩行者・自転車利用者向けの交通安全教室を開催するなどしている。
 また、一定台数以上の自動車を使用する事業所等では、道路交通法の規定に基づき選任された安全運転管理者(注)により、指針に従って交通安全教育を実施することが義務付けられている。警察では、これが適切に実施されるよう、必要な指導を行っている。


注:事業所等での交通事故防止を目的に、事業所内の運転者に対する交通安全教育や安全運転のために必要な業務管理等を行う者

 
(2) 交通安全活動
 [1] 全国交通安全運動
 毎年春と秋に、交通安全に関する知識の普及と交通安全意識の高揚、交通ルールの遵守と交通マナーの実践を図るため、全国交通安全運動を実施している。期間中は、国、地方公共団体、交通安全協会等が協力して、地域の実態に即した住民参加型の活動を活発に行うことにより、幅広い国民運動を展開している。

 [2] 地方公共団体、民間団体、ボランティア等と連携した交通安全活動の推進
 交通安全教育や交通安全に関する広報啓発活動は、警察と地方公共団体や民間団体が連携して行うことが重要である。そこで、警察では、交通安全キャンペーン等の各種広報啓発活動に必要な協力を行っているほか、地域交通安全活動推進委員等のボランティアが行う活動が効果的なものとなるよう、交通安全教育の指導者に対する研修会を開催したり、交通事故情報を提供したりするなどの支援を行っている。

 
(3) 交通安全を目的とする諸団体の活動
 [1] 都道府県交通安全協会(連合会)及び財団法人全日本交通安全協会
 各都道府県の交通安全協会(連合会)は、道路交通法に基づき、都道府県交通安全活動推進センターとして指定されており、警察と協力し、交通事故に関する相談業務を推進するなど、民間の交通安全活動の中心的な役割を担っている。
 財団法人全日本交通安全協会は、道路交通法に基づき、全国交通安全活動推進センターとして指定されており、都道府県交通安全活動推進センターの業務に関する研修を行っているほか、交通安全に関する広報啓発活動等を推進している。毎年1月には、交通安全国民運動中央大会を開催し、交通安全のために顕著な功績のあった者等に対して、警察庁長官及び同協会会長の名で交通栄誉章を授与している。

 [2] 自動車安全運転センター
 自動車安全運転センターは、自動車安全運転センター法に基づき、安全運転研修業務(緊急車両の運転者や自動車教習所の指導員等に対する研修。平成16年度の延べ受講人数は約6万5,000人)、累積点数通知業務(免許停止等の直前の点数に達した者にその旨書面で通知する業務。16年度は約136万件)、運転経歴証明業務(無事故無違反証明等の業務。16年度は約473万件)、交通事故証明業務(16年度は約397万件)、調査研究業務等を行っている。

 
自動車安全運転センター安全運転中央研修所での研修
自動車安全運転センター安全運転中央研修所での研修

 [3] 財団法人交通事故総合分析センター
 財団法人交通事故総合分析センターは、道路交通法に基づき、交通事故調査分析センターとして指定されており、警察や道路管理者から提供を受けた「人」、「車両」、「道路」に関する各種データを統合して多角的な分析を行うマクロ統計分析や、交通事故の現場に臨場して事故原因等について詳細な調査を行う事故例調査(ミクロ調査)を実施している。調査分析の結果は、広報誌や研究発表会等を通じて広く公開され、警察、道路管理者、自動車製造事業者等による交通安全対策に活用されている。

 1 交通安全教育と交通安全活動

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