第3章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

4 子どもを守る施策

(1) 子どもの安全対策
 近年、女子児童が被害者となった誘拐・殺人事件、幼児が被害者となった通り魔殺人事件、小学校における持凶器殺人事件等子どもが被害者となる重大事件が発生している。
 警察では、このような事件を防止するため、地域警察官のパトロールを強化するとともに、児童・生徒の安全確保を任務とするスクールサポーターとして警察官を退職した者等を委嘱している。また、学校に不審者が侵入した場合を想定して、防犯訓練や防犯教室を実施しているほか、事件・事故が発生した場合に備え、学校と警察とを結ぶ緊急通報システムの整備を推進している。

 
子ども見守り会の活動
子ども見守り会の活動

 さらに、通学路等での安全を確保するため、学校や地域住民に対し、子どもを対象とした犯罪の発生状況や不審者の出没状況に関する情報を提供するとともに、子ども緊急通報装置の整備を進めている。

 
子ども連れ去り防止訓練
子どもの連れ去り防止訓練

 
(2) 子どもを対象とした性犯罪対策
 警察庁やその附属機関の科学警察研究所が行った調査から、平成16年中に検挙した子どもを対象とした暴力的な性犯罪(強姦、強制わいせつ、強盗強姦、わいせつ目的略取・誘拐)の被疑者466人のうち、15.9%に当たる74人は、それ以前にも同種の性犯罪を犯していることが明らかになった。また、昭和57年から平成9年までの間に検挙した子どもを対象とした強姦事件の被疑者で追跡が可能な506人のうち、9.3%に当たる47人は、16年6月末までに再び、子どもを対象とした強姦事件や強制わいせつ事件を犯していることが明らかになった。
 そこで、警察では、17年6月より、法務省から、子どもを対象とした暴力的な性犯罪により刑務所に服役している者の出所予定日、出所後の帰住予定先等の出所情報の提供を受け、出所者の更生や社会復帰を妨げないよう配慮しつつ、犯罪の予防や捜査の迅速化等への活用を図っている。

 
(3) 児童虐待対策
 平成16年中の警察の相談窓口における児童虐待に関する相談の受理件数は1,833件(前年比557件増)と、過去10年間で約10倍に増加した。
 また、16年中の児童虐待事件の検挙件数は229件(前年比72件増)、検挙人員は253人(前年比70人増)、被害児童数は239人(前年比73人増)であった。このうち、殺人及び傷害致死による検挙人員は62人(前年比11人増)であった。

 
表3-37 児童虐待に関する相談受理件数の推移(平成7~16年)

表3-37 児童虐待に関する相談受理件数の推移(平成7~16年)
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表3-38 児童虐待事件の態様別検挙状況(平成15、16年)

表3-38 児童虐待事件の態様別検挙状況(平成15、16年)
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表3-39 児童虐待事件の罪種別検挙状況(平成15、16年)

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事例
 友人と同居していた男(39)は、その友人の4歳と3歳の子ども2人に暴行し、傷害を負わせ、これを友人に知られることを恐れ、子ども2人を橋の上から約5メートル下方の川に投げ入れ、溺死させて殺害した。16年9月、殺人罪等で逮捕した(栃木)。

 警察では、街頭補導、少年相談等様々な活動の機会を通じ、児童虐待事案の早期発見と児童相談所等への確実な通告に努めるとともに、都道府県知事・児童相談所長による児童の安全確認や一時保護、立入調査を円滑化するための援助を実施している。また、被害児童のカウンセリング、保護者への助言・指導、訪問活動による家庭環境の改善等の支援に取り組んでいる。

 第4節 少年の非行防止と健全育成

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