第3章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

6 地域住民の保護・支援と警察安全相談

(1) 家出人、行方不明者等の発見・保護活動
 警察では、警察官職務執行法等に基づき、でい酔者、迷い子等の応急の救護を要する者の保護活動を行っている。平成16年中の保護取扱件数は20万4,358件(前年比822件増)であった。
 また、家出人の発見・保護活動も行っており、犯罪に巻き込まれたり、自殺をしたりするおそれがある家出人については、特に迅速な発見・保護に努めている。16年中の家出人の発見数は、捜索願の届出がなされていなかった者も含め、8万8,884人(前年比5,599件減)であった。

事例
 16年4月、地域警察官がでい酔状態の者を保護し、健康状態を確認したところ、瞳孔に光を当てても反応がないなどの異常を認めたため、直ちに救急車の派遣を要請した。病院に搬送した結果、頭部に内出血を負っていたことが判明したが、地域警察官による迅速な対応が功を奏し、一命をとりとめた(山口)。

 
(2) 高齢者を支援する活動
 警察では、高齢者に対する保護活動の一環として、巡回連絡等を通じて高齢者に防犯指導を行っているほか、困りごとや意見・要望の把握を行っている。また、高齢者の所在が不明になったときに、地方公共団体、FMラジオ放送局等の報道機関、タクシー会社等の交通機関と情報を共有して速やかな保護を図る「はいかい老人SOSネットワーク」を構築するなど、はいかい高齢者の早期発見・保護のための取組みを推進している。
 さらに、高齢者が安心して生きがいをもって生活できるよう、老人クラブ等と連携して、地域安全活動への参加を促すことによって、高齢者の社会参加を支援するとともに、地域の連帯感や相互扶助機能の強化を図っている。

 
(3) 障害者を支援する活動
 警察では、聴覚障害者が円滑に被害申告等をすることができるよう、手話ができる職員の配置に努めている。また、平成17年4月現在、電話により意思を伝達することが困難な障害者のために、緊急通報をファックスにより受け付ける「FAX110番」を全都道府県で、電子メール等により受け付ける「メール110番」を46都道府県で開設している。

 
(4) ホームレス対策
 大都市を中心に、特定の住居を持たずに道路、公園、河川敷、駅舎等での野宿生活を送る、いわゆるホームレスの存在が社会問題となっていることから、警察では、地方公共団体や公共施設管理者等と緊密な連携を図りながら、パトロール活動や緊急に保護する必要のあるホームレスの一次的な保護等の対策を推進している。

 
(5) 警察安全相談の充実強化
 警察には、国民から多岐にわたる多数の相談が寄せられる。平成16年中に取り扱った警察安全相談の件数は180万670件と、前年より28万1,514件増加した。最近では、悪質商法に関する相談が著しく増加している。
 警察では、こうした相談に円滑に対応することができるよう、各都道府県の警察本部に警察総合相談室を、警察署に警察安全相談窓口を設置している。また、110番通報をするほどの緊急性のない相談に的確に対応するため、「#9110」番(注)に電話をかければ警察本部に設置された警察相談専用電話に自動的に接続するシステムを導入している。


注:携帯電話からも利用できる。なお、ダイヤル回線及び一部のIP電話では利用できないので、警察安全相談専用の一般加入電話を設けており、警察庁のウェブサイト等で広報している。

 寄せられた相談に対しては、刑罰法令に抵触する事案を検挙することはもとより、刑罰法令に抵触しない事案であっても必要に応じて防犯指導や相手方への指導・警告を行うなどして被害の未然防止を図っている。また、警察以外の機関で取り扱うことが適切である相談も寄せられるが、これについても円滑な引継ぎを行っている。

 
図3-25 相談取扱件数の推移(平成7~16年)

図3-25 相談取扱件数の推移(平成7~16年)
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表3-23 増加している主な相談内容(平成15、16年)

表3-23 増加している主な相談内容(平成15、16年)
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図3-26 相談内容の内訳

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 第3節 安全で安心な暮らしを守る施策

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