第3章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

4 事件・事故への即応

 交番、駐在所等の警察官は、事件、事故等が発生した際には、直ちに発生現場に向かい、犯人の逮捕、現場保存等の措置を採っている。警察では、警察官が迅速に現場に駆けつけることができるよう、110番通報の受理や警察署等への指令を行うシステムを整備するとともに、パトカー等の機動力の活用に努めている。

(1) 110番通報の現状
 110番通報受理件数は年々増加しており、平成16年中は約954万件(前年比約22万件増)と、過去最高であった。これは、3.3秒に1回、国民約13人に1人の割合で通報がされたことになる。携帯電話等移動電話からの110番通報が半数以上(57.0%)を占め、件数は過去10年間で8.1倍に高まった。
 警察では、毎年1月10日を「110番の日」と定め、110番通報を適切に利用するとともに、警察による緊急の対応を必要としない相談等の電話には、専用の「#(シャープ)9110番」を利用するよう呼び掛けている。また、移動電話を用いて110番通報をするときは、所在地や番地、目標物を確認するほか、通話中にはできるだけ場所を移動しないことなどを呼び掛けている。

 
表3-18 110番通報受理件数の推移(平成7~16年)

表3-18 110番通報受理件数の推移(平成7~16年)
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(2) 通信指令システム
 110番通報に的確に対応するため、都道府県警察に通信指令室が設けられている。110番通報を受理した通信指令室では、直ちに通報内容を警察署等に伝え、パトカーや交番等の地域警察官を現場に急行させるとともに、必要に応じて緊急配備の発令、他の都道府県警察への通報等を行っている。
 重要事件等が発生した際に、迅速に被疑者を検挙するため、交番・駐在所の地域警察官を中心に警戒員を配置して検問、張り込み等を行うことを緊急配備という。平成16年中の緊急配備の実施件数は11,807件(前年比2,086件減)であった。

 
通信指令室
通信指令室

 また、通信指令室が110番通報を受理し、パトカー等に指令してから警察官が現場に到着するまでの所要時間をリスポンス・タイムという。16年中に警察本部の通信指令室で直接受理した110番通報に対するリスポンス・タイムの平均は7分15秒であった。
 警察では、リスポンス・タイムの短縮のため、通報場所を早急に把握できる地理情報システムやパトカーの活動状況を容易に把握できるカーロケータ・システムを導入するなど、通信指令システムの高度化に努めている。

事例
 17年2月、スーパーマーケット内で幼児を被害者とする殺人未遂事件が発生したとの110番通報を受け、通信指令室が緊急配備を指令し、被疑者の検索を指示するとともに、被疑者の服装や人相等の情報を手配していたところ、事件発生から約1時間30分後、検索中の交番勤務員がその手配内容に基づき被疑者を発見し、逮捕した(愛知)。

 
(3) パトカー、警察用航空機・船舶の活動
 全国の警察本部や警察署に配備されたパトカーは、交番・駐在所の地域警察官と連携して管内のパトロールを行うとともに、事件、事故等の発生時における初動措置を採っている。
 また、パトカー以外にも、全国に警察用航空機(ヘリコプター)が約80機、警察用船舶が約200隻配備されており、通信指令室やパトカーと連携し、その機動力を生かしたパトロール、事件・事故発生時の情報収集、交通情報の収集、災害や山岳遭難等の事故発生時の救助活動等を行っている。

 
警察用航空機
警察用航空機

 
(4) 鉄道警察隊の活動
 鉄道警察隊は、列車内、駅等の鉄道施設及びその周辺のパトロールや警戒警備を行い、すり、置き引き、痴漢等の犯罪の予防及び検挙を図っている。
 また、駅構内に置かれている本隊や分駐隊において、痴漢の被害に遭った女性からの相談を受理した場合は、女性に同行して警乗を行うなど、必要な措置を採っている。

 
鉄道警察隊
鉄道警察隊

 第2節 犯罪の検挙と抑止のための基盤強化

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