第1章 世界一安全な道路交通を目指して 

 


第1章 世界一安全な道路交通を目指して

特集に当たって

 本年の警察白書の特集テーマは、「世界一安全な道路交通を目指して」である。
 警察では、長年にわたり国民や関係機関・団体と共に交通安全対策に取り組み、一定の成果を上げてきた。特に交通事故死者数は、過去最悪であった昭和45年の半数を下回る年間7,000人台にまで減少させることができた。しかし、突然の事故によって多数の尊い命が失われている事実に変わりはなく、また、交通事故の発生件数は増加し続けている。
 こうした中、政府は、平成15年に「10年間で交通事故死者数を5,000人以下とし、世界一安全な道路交通の実現を目指す」との目標を掲げた。今後は、この政府目標の達成を足掛かりとして、究極の目標である「交通事故のない社会」を目指していかなければならない。
 そこで、今回、戦後の交通安全対策の変遷を振り返り、これを評価するとともに、喫緊の重要課題である超高齢化社会への対応方策等を示すため、この特集を組むこととした。
 第1節では、自動車交通が急成長を始めた昭和30年代から現在に至るまでの交通安全対策上の重要課題、警察における重点施策及びその効果等を記述した。
 第2節では、我が国の交通安全対策における警察の役割やその取組みについて、現場の活動や交通警察官の意識と併せて記述した。
 第3節では、超高齢化社会の到来を前に深刻化が進む高齢者の交通事故問題について、高齢者自身を含めた国民の意識を紹介しつつ、問題の所在や対策の方向性を記述した。
 第4節では、交通警察の今後の目標と重要課題について記述した。
 交通事故は、国民の生命、身体及び財産に重大な被害を与えるものであり、こうした被害から国民を守ることは、警察の重大な責務である。本特集により、交通警察に対する理解が深まり、ひいては、交通安全に対する国民の意識が高まることを切に願う。

 特集に当たって

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