(2) 薬物乱用の現状  〔1〕 大麻事犯  平成15年中の大麻事犯の検挙件数は2,772件、検挙人員は2,032人で、それぞれ227件(前年比8.9%増)、284人(前年比16.2%増)増加し、検挙人員は過去最高となった。押収量は、大麻樹脂が267.0キログラム(前年比22.9キログラム、9.4%増)、乾燥大麻が537.2キログラム(前年比312.9キログラム、139.5%増)で、大麻樹脂の押収量が過去最高となった。 表5-8 大麻事犯検挙・押収状況の推移(平成11~15年)  〔2〕 麻薬等事犯   ア MDMA等錠剤型合成麻薬  15年中のMDMA等錠剤型合成麻薬(LSDを除く。)の押収量は39万3,062錠で、21万8,814錠(前年比125.6%増)増加し、過去最高となった。11年の押収量と比べ約22倍となっており、近年目ざましく増加している。  MDMA等錠剤型合成麻薬は、他の薬物と変わらぬ危険性・有害性があるが、その形状等により、使用に対する抵抗感が希薄となりやすいことなどから、更なる乱用の拡大が懸念されている。 図5-8 MDMA等錠剤型合成麻薬の押収量の推移(平成11~15年) 絵画の裏面木枠内に隠匿されて密輸されたMDMA 体に巻き付けて密輸されたMDMA   イ コカイン  15年中のコカイン事犯の検挙件数、検挙人員は、それぞれ14件(前年比9.7%増)、18人(前年比45.0%増)増加し、押収量は14.4キログラム(前年比86.2%減)減少した。 表5-9 コカイン事犯検挙・押収状況の推移(平成11~15年)   ウ ヘロイン  15年中のヘロイン事犯の検挙件数、検挙人員は、それぞれ49件(前年比76.6%増)、32人(前年比80.0%増)増加し、押収量は14.0キログラム(前年比73.3%減)減少した。 表5-10 ヘロイン事犯検挙・押収状況の推移(平成11~15年)   エ 向精神薬  15年中の向精神薬事犯のうち鎮静剤事犯の検挙件数、検挙人員、押収量は、それぞれ、12件(前年比37.5%増)、4人(前年比22.2%増)、8万6,618錠(前年比277.8%増)増加した。 表5-11 向精神薬事犯検挙・押収状況(平成14、15年)   オ あへん  あへん事犯の検挙件数、検挙人員は、それぞれ4件(前年比5.0%増)、7人(前年比16.3%増)増加し、押収量は0.5キログラム(前年比8.8%減)減少した。 表5-12 あへん事犯検挙・押収状況の推移(平成11~15年)  〔3〕 シンナー等有機溶剤及び脱法ドラッグへの対応   ア シンナー等有機溶剤  15年中のシンナー等有機溶剤の乱用者の検挙人員(シンナー等有機溶剤を摂取し、若しくは吸入し、又はその目的の所持により毒物及び劇物取締法で検挙又は補導された者をいう。)は4,895人であり、その59.2%を少年が占めた。   イ 脱法ドラッグ  近年、薬物取締法令に触れることなく多幸感や性的快感等の薬理作用が得られるなどの宣伝を行い、いわゆる脱法ドラッグを販売する事案が散見される。警察では、この問題について関係行政機関と連携して諸対策を講じるとともに、成分中に規制薬物が含まれ法令に違反する場合には、厳正な取締りを行っている。  なお、15年9月、1-ベンジルピペラジン(BZP)及びその塩類等が新たに麻薬及び向精神薬取締法における麻薬として指定され、規制対象となった。