(1) 第三次覚せい剤乱用期の継続  〔1〕 根強い覚せい剤需要  平成15年中の覚せい剤事犯の検挙人員は1万4,624人で、2,147人(前年比12.8%減)減少したが、押収量は486.8キログラムで、49.8キログラム(前年比11.4%増)増加した。  百キログラム単位の大型密輸入事件等を摘発し、香港・中国からの大きな流入ルートを遮断したことなどにより、覚せい剤は品薄状態になったとみられる。しかし、全国的な価格の上昇傾向がみられる中、航空機を利用した携帯密輸入事犯や航空貨物便を利用した小口密輸入事犯が急増し、また、覚せい剤の原料の所持等の事犯が増加しているなど、依然として根強い需要の存在がうかがわれ、いまだ「第三次覚せい剤乱用期」が継続している状況にある。  〔2〕 覚せい剤の大量押収  15年中の覚せい剤の押収量は486.8キログラムで、過去6番目に多かった。 事例 密輸容疑情報を入手し、税関と協力して内偵捜査を進めた結果、15年3月、中国から輸入されたコンテナ内に隠匿された覚せい剤を発見し、引き続きコントロールド・デリバリー(注)を実施してそのコンテナを受け取った貿易商(58)及び中国人の男ら3人を検挙した。また、コンテナ内の陶器製置物の木製台座260個の中に隠匿されていた合計259.7キログラムの覚せい剤を押収するとともに、本件密輸の共犯として暴力団幹部2人を検挙した(神奈川、千葉、埼玉、警視庁)。 注:取締機関が規制薬物等の禁制品を発見しても、その場で直ちに検挙・押収することなく、十分な監視の下にその運搬を継続させ、関連被疑者に到達させてその者らを検挙する捜査手法をいう。 陶器製置物の木製台座に隠匿された覚せい剤  〔3〕 密輸入事件の増加  15年中の覚せい剤の密輸入事件の検挙件数は47件で、31件(前年比193.8%増)増加した。これは、航空機を利用した手荷物品隠匿・身体巻付け等の携帯密輸入事犯や国際宅配便・国際郵便等による航空貨物便を利用した小口密輸入事犯が急増したことによるものである。