7 平成16年の警察法改正 (1) 新たな治安事象の出現  治安水準が戦後最悪の水準で推移する中、暴力団、来日外国人犯罪組織、薬物銃器密輸密売組織等の犯罪組織は相互の連携を深め、その犯罪は一層複雑化・巧妙化している。一方、米国における同時多発テロ事件以降、国際テロ情勢は予断を許さない状況が続いており、日本国内においても国際テロの脅威が現実のものとなっている。さらに、インターネットを悪用した詐欺事犯等のサイバー犯罪が新たな社会問題となっている。  このような犯罪は、国の公安に重大な影響を与えるおそれがあり、容易に国境や県境を越えるものであるため、都道府県警察が当該都道府県の区域における警察の活動について全面的に責任を負う現行警察制度の枠組みの中で、国がいかなる治安責任を果たすべきか、国と地方の役割分担をいかなるものとすべきかを検討する必要が生じた。