(3) 交番・駐在所の地域警察官の活動  交番・駐在所の地域警察官は、それぞれの交番・駐在所を拠点に、立番等による警戒、パトロール、巡回連絡、事件・事故への対応等の活動を行っている。  〔1〕 立番、見張、在所による警戒  交番・駐在所の地域警察官は、施設の外に立って警戒に当たる立番、施設の出入口付近で椅子に腰掛けて周囲の警戒に当たる見張、施設の中で書類作成等に当たりながら外部への警戒を行う在所勤務を通じ、犯罪及び事故の防止並びに犯罪の検挙、交通指導取締り等に当たっている。 立番 事例1 平成15年2月、交番前で立番中の地域警察官が、道路交通法違反(転回禁止違反)の車両を発見したため、この車両を停止させて職務質問を行った。車両の運転手は免許証を所持していなかったため、交番で運転手から事情を聞いたところ、業務上横領事件で指名手配されている者であることが判明し、運転手を逮捕した(岐阜)。  〔2〕 パトロール、巡回連絡  交番・駐在所の地域警察官は、管轄地域の実態を把握するとともに犯罪及び事故の防止並びに犯罪の検挙、交通指導取締り、少年補導等を行うため、パトロールを行っている。  また、地域警察官がそれぞれ担当の地域を巡回して家庭、事業所等を訪問し、犯罪の予防、災害・事故の防止等、住民の安全で平穏な生活を確保するために必要な事項の指導・連絡や住民の意見・要望等の聴取を行う巡回連絡を行っている。 巡回連絡  〔3〕 事件、事故等への対応  交番・駐在所の地域警察官は、管轄地域で事件、事故等が発生した際には、直ちに発生現場に向かい、犯人の逮捕、危険の防止、現場保存等の措置を採っている。 事例2 15年5月、交番の地域警察官が建設会社のビルでアラームが発報したとの通報を受け、現場に急行し、パトカーの地域警察官とともにビル内を確認したところ、トイレ内に中国人の男が盗品や侵入道具であるバールを持ったまま潜んでいるのを発見し、窃盗罪で逮捕した(大阪)。  〔4〕 その他の活動  このほか、交番・駐在所の地域警察官は、地域住民からの様々な相談の受理、迷い子の保護、遺失物・拾得物の届出の受理等の幅広い業務を行っている。 コラム2 遺失物・拾得物の取扱い  交番・駐在所の地域警察官は、遺失物・拾得物を速やかに遺失者に返還するため、遺失・拾得届の受理業務を行っている。15年中に警察が取り扱った遺失届は約325万件、拾得届は約551万件であった。拾得届のあった金品のうち、通貨は約7割、物品は約3割が遺失者に返還されている。 表1-1 遺失物・拾得物の取扱い状況(平成11~15年) コラム3 勤務基準  交番・駐在所の地域警察官は、交番・駐在所ごとにパトロール、巡回連絡、在所等に従事すべき時間を定めた勤務基準に従って勤務している。  この勤務基準は、管轄地域の治安情勢により変更する必要がある場合、事件・事故等の発生のため勤務基準に従って勤務できない場合等には変更される。 図1-2 交番の地域警察官の勤務基準の例 交番に3人の地域警察官が勤務する場合、3人の休憩時間や交番の外で活動する時間が重ならないよう勤務基準を工夫している。 コラム4 交番の1日の活動状況の例  下記は、16年7月某日の神奈川県大和警察署大和駅前交番の勤務日誌の抜粋である。同交番は、横浜市中心部から西方に10数キロメートル離れた、相模鉄道本線と小田急江ノ島線の大和駅を中心とする、同警察署管内では最も人通りの多い地域を管轄している。  この日は、同交番には6人の地域警察官が勤務していた。6人は、勤務基準に則して管内のパトロールや立番・見張・在所勤務等を行いつつ、勤務日誌に記載されているような突発事案が発生するたび、迅速にその対応に当たった。勤務日誌を見ると、同じ時間帯に複数の事案が集中的に発生する場合が少なくないことや、夜間が特に忙しく、勤務員は明け方頃まで突発事案の対応に追われ、仮眠を取ることもままならないことが分かる。 【勤務日誌】