第9章 公安委員会制度と警察活動のささえ 

(2) 技術協力

 日本の警察が有する警察運営、交番制度、捜査手法、犯罪鑑識等に関する技術やノウハウには、海外から高い関心が寄せられており、特に開発途上国から、これらの各分野での技術協力が求められている。
 このため、警察では、必要に応じて独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力を得ながら、積極的に技術移転を進めており、平成15年には、アジア地域組織犯罪対策のセミナーの開催等、15の研修員受入れ事業を実施した。
 また、相手国の担当者を我が国に招いて指導を行うだけでなく、相手国の国内における協力も行っている。15年には、JICA専門家としてタイ、フィリピン、インドネシア等のアジア地域に15人の警察職員及び警察OBを派遣し、薬物捜査、犯罪鑑識、交番制度等に関する技術指導を実施した。

 
インドネシアにおける技術指導

インドネシアにおける技術指導

 中でも、「技術協力プロジェクト」(JICAが実施する事業の一つで、専門家の派遣、研修員の受入れ及び機材の供与を効果的に組み合わせて一定期間実施することにより、支援目的の達成を目指すもの)では、インドネシア及びタイへの協力を行っている。

コラム2 インドネシア国家警察の民主化支援
 インドネシア国家警察は、平成10年のスハルト政権崩壊後における民主化の動きの中で、国軍から分離独立し、市民からの要望に迅速・誠実にこたえる「信頼される警察」への脱皮を図るため、その民主化に着手した。日本警察は、これを支援するため、ODAの一環として、13年2月から「国家警察長官政策アドバイザー」として、警察庁から審議官級の職員を同国に派遣している。
 13年度以降、インドネシア国家警察の将来を嘱望された職員を日本に招請し、警察署や交番での勤務等、多様な警察活動を実体験させる研修を実施している。また、14年8月から、技術協力プロジェクトとして「市民警察活動促進プロジェクト」を開始し、首都ジャカルタ近郊のブカシ警察署をモデル警察署として、組織運営、通信指令、現場鑑識等の分野で技術支援を行っている。さらに、14年10月にバリ島で発生した爆弾テロ事件により、同地が国際的な観光地としてのイメージを大きく損ねたことから、15年10月、「バリ州警察本部長アドバイザー」として日本の警察官OBを派遣し、バリ州警察にパトロールの強化等の助言を行っている。

 16 警察の国際協力

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