第9章 公安委員会制度と警察活動のささえ 

(2) 管区警察局の主な業務

 〔1〕 府県警察に対する監察
 年度ごとの監察実施計画に基づく監察のほか、随時の監察を実施し、警察事務の能率的な運営及び規律の保持に努めている。15年中、各管区警察局が実施した府県警察に対する監察の回数は1,234回であった。管区警察局の監察機能は、警察改革の一環として強化されたもので、13年4月、各管区警察局に総務監察部(関東管区警察局には監察部)が設置されている。

 〔2〕 広域調整
 組織犯罪対策や来日外国人犯罪対策、広域的な対処を必要とする重要事件の合同・共同捜査等に関して、府県警察に対する指導・調整を行っている。また、悪天候時の高速道路の交通規制、飲酒検問や初日の出暴走対策等の一斉取締りの調整を行うなど、府県をまたがる交通管理・交通対策の斉一性を確保している。

 
広域重要事件における管区警察局の指導・調整事例

広域重要事件における管区警察局の指導・調整事例

事例
15年10月、関東管区警察局は、多発する建設機械等を使用した窃盗や、ピッキング等の新しい侵入手口に対する捜査技術を向上させるため、捜査担当者を対象に「手口捜査実戦塾」を開催し、実際に機械や特殊開錠用具を使用して、全国で敢行されている手口や対策について指導した。

 
手口捜査実戦塾

手口捜査実戦塾

 〔3〕 大規模災害への対処
 大規模災害発生時には、被災情報の収集・分析に当たるとともに、機動警察通信隊や管区警察局ごとに編成される広域緊急援助隊の派遣に関する調整を行っている。

 
災害訓練

災害訓練

 〔4〕 警察の情報通信
 管区警察局には、情報通信部とその下部機関たる各府県情報通信部が設置され、警察庁や都道府県警察を結ぶ情報通信ネットワークの整備・管理・開発に当たっており、15年の宮城県北部を震源とする地震の際の警察通信の確保等、大規模事件・事故の発生時には臨時の通信網の敷設・整備等を行っている。また、管区警察局情報通信部には、通称「サイバーフォース」を設置し、重要インフラ事業者等を訪問するなどサイバーテロの未然防止、被害拡大防止に資する活動を行っている。

 
サイバーフォースによるインターネット情勢の監視

サイバーフォースによるインターネット情勢の監視

 〔5〕 捜査支援
 近年増加しているインターネット等を利用したサイバー犯罪に対処するため、16年4月に警察法が改正され、府県警察が行うサイバー犯罪の捜査に際し、管区警察局情報通信部及び府県情報通信部の職員が捜索差押、現場検証等の現場に臨場し、警察官の指示の下、技術的な支援を行い、第一線の犯罪捜査を支えていくこととなった。

 〔6〕 教育訓練
 各管区警察局には管区警察学校が附置され、府県警察の第一線警察活動を担う警察職員(主として警部補、巡査部長の階級にある者)を対象とした幹部教育、専門教育等を実施している。

 3 管区警察局の活動

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