第7章 公安の維持 

9 右翼の動向と対策

(1) 右翼の動向

 〔1〕 時局問題や領土問題をとらえた活発な批判活動の展開
 右翼は、時局問題等をとらえ、政府等に対する批判活動に活発に取り組んだ。
 北朝鮮問題をめぐっては、平成15年中、全国各地で、約1,900団体約7,700人が、街頭宣伝車約1,900台を動員して、日本人拉致容疑事案や核問題をとらえ、北朝鮮、朝鮮総聯、我が国政府等を批判した。
 北方領土問題をめぐっては、「北方領土の日(2月7日)」に約220団体約1,000人が、街頭宣伝車約280台を動員して、また、「反ロデー(8月9日)」に約310団体約1,800人が、街頭宣伝車約470台を動員して、ロシア及び我が国政府を批判した。

 〔2〕 右翼関係事件の傾向
 15年中は、8月29日の「自民党本部車両突入事件」、9月21日の「在日本朝鮮人総聯合会大分県本部攻撃事件」の2件の「テロ、ゲリラ」事件が発生したほか、14年10月から15年11月にかけて「建国義勇軍国賊征伐隊」構成員らによる広域にわたる連続銃撃・脅迫等事件が24件発生し、いずれも被疑者を検挙した。
 右翼は、時々の社会情勢に敏感に反応し活発な活動を展開しているが、特に北朝鮮による日本人拉致容疑事案等の時局問題に対する国民世論の高まりを背景に、政府の外交姿勢等に対する批判行動を先鋭化させており、その結果「テロ、ゲリラ」事件が急増したものとみられる。
 また、15年中の右翼による違法行為の検挙件数は1,655件、検挙人員は2,099人で、いずれも過去最高を記録した14年中に比べて、検挙件数はほぼ横ばいであったが、検挙人員はやや減少した。このうち、資金獲得を目的とした犯罪の検挙件数は497件、検挙人員は825人で、検挙件数は全体の30.0%を占めた。

事例
平成14年10月から15年11月にかけて「刀剣友の会(日本人の会)」の会長を始め幹部らが「建国義勇軍国賊征伐隊」等を名乗り、北朝鮮関連施設、オウム真理教関連施設、教職員組合関連施設、政界要人等を攻撃対象として、けん銃の発射、爆発物類似物件の設置、けん銃実包等を同封した脅迫文の送付等、11都道府県にまたがる計24件の事件を引き起こした。
 警視庁を始めとする13の都道府県警察による合同捜査本部は、徹底した捜査を推進し、被疑者17人を逮捕等するとともに、けん銃等の銃器10丁を発見押収するなど、16年1月までに24事件すべてを検挙して、事件の拡大を防止した(警視庁、北海道、山形、神奈川、新潟、福井、岐阜、愛知、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡)。

 
図7-9 右翼による「テロ、ゲリラ」事件の検挙状況

図7-9 右翼による「テロ、ゲリラ」事件の検挙状況
Excel形式のファイルはこちら


 
図7-10 右翼関係事件の検挙状況

図7-10 右翼関係事件の検挙状況
Excel形式のファイルはこちら


 9 右翼の動向と対策

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む